1991 Fiscal Year Annual Research Report
着衣時の汗による「乾き感」要因としての布の乾燥過程における収縮挙動
Project/Area Number |
03680071
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
鈴木 淳 長崎大学, 教育学部, 教授 (90112367)
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Keywords | 布 / 乾き感 / 乾燥 / 収縮 / クリ-プ / 応力緩和 / クリンプ / 限界水分率 |
Research Abstract |
発汗後、その汗が引いていく過程で起こる不快感に着衣による「乾き感」ないしは「つっぱり感」がある。本研究では、この接触感要因の1つを乾燥過程における布の「収縮性・力」の観点から検討した。すなわち、湿潤布の乾燥過程における伸縮挙動を水分による糸の膨潤および布の屈曲や組織のゆるみなどが関与する低荷重(伸張)下のクリ-プ試験として測定した。同時に、試料面の温度変化を測定することにより、このクリ-プ挙動と乾燥特性との関係を明らかにした。クリ-プ荷重は常態の強伸度曲線から上述の布のクリンプ性を考えて1ー10g/cm前後の値とした。試料には肌着の主要素材であり、膨潤する性質のある綿と膨潤しないポリエステルの親・疎水性繊維およびその混紡からなる紡績糸使いのブロ-ド地とニット地とを用いた。綿ブロ-ドのクリ-プ試験の結果は減率乾燥が始まる限界水分率において急な伸長歪を生じ、その後、第2限界水分率において同収縮歪が起こりシャ-プなピ-クが認められた。このとき、クリ-プ荷重が大きくなるとこの伸長歪は大きく、同収縮歪は小さくなる。恒率乾燥においては単調な伸長歪を示し、それは2つのショルダ-部分から成っていた。綿ニットの場合のピ-クは小さく、低荷重のときのみに見られた。綿/ポリエステル混ではその変化が綿のみの場合より小さかった。ポリエステルではその変化が極めて微かで、上述のピ-ク点は限界水分率に一致し、綿および綿/ポリエステル混の場合の結果とはずれがあった。クリ-プと対を成す同応力緩和の測定では綿および綿/ポリエステル混の場合、応力が限界水分率で増大に転じ、第2限界水分率後も応力の増大があった。また、綿ブロ-ドについて測定したハ-ト・ル-プ法による硬軟度試験の結果は湿潤乾燥後の布において硬さの増大かあった。
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