1993 Fiscal Year Annual Research Report
調理操作過程における野菜のカロテノイド色素の変化と酵素活性
Project/Area Number |
03680072
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Research Institution | universuty of Shizuoka |
Principal Investigator |
上柳 富美子 静岡県立大学, 食品栄養科学部・食品学科, 助教授 (20046189)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近 雅代 静岡県立大学, 食品栄養科学部・食品学科, 助手 (10046211)
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Keywords | 抗リポキシゲナーゼ / 油中加熱 / 水中加熱 / beta-カロテン / ビオラキサンチン / ネオキサンチン / ルテイン / リコペン |
Research Abstract |
昨年度は抗リポキシゲナーゼ活性が緑色の濃い野菜(ニラ、シソ、ホウレンソウ、ブロッコリーなど)に多く、キャベツ、キュウリのような淡色野菜に少ないことを報告した。このことより、カロテノイドが抗リポキシゲナーゲ活性を示すことが考えられ、今年度はトマトピューレーから分離、精製したリコペン、ほうれん草からのbeta-カロテン、リテイン、ビオラキサンチン、ネオキサンチンを用いて大豆リポキシゲナーゼの抑制活性を測定した。その結果、同濃度における抑制活性はリコペンが最も強く、ついでネオキサンチン、ビオラキサンチン、ルテイン、beta-カロテンの順になった。またalpha-トコフェロール、L-アスコルビン酸の抗リポキシゲナーゼ活性はbeta-カロテンよりも低かった。以上のことから構造と活性の関係を考察するとリコペンの活性の強さはイオノン環が開いていること、二重結合の数が13以上あることが大きな影響をもっており、その他のカロテノイドでは極性が高い程活性が高くなる傾向がみられた。このことを証明するためには、ノウロスポレン,delta-カロテンなどの開環カロテノイドや、極性の異なるカロテノイドについても実験を行う必要があると考えられる。 さらに、実際に調理を行う際、「ゆで」たり「揚げ」たりした場合の加熱によるカロテノイドの変化を調べた。蒸留水と1%食塩水でコマツナをゆでた場合は、ゆで時間とともにまずビオラキサンチンが分解・酸化され、つぎにネオキサンチン、ルテインと続き、beta-カロテンは比較的安定であった。1%食塩を加えた方が、総色素量では変化量が少なかったが、各カロテノイド量では、余り蒸留水と違いはなかった。160°Cで揚げた場合は、ゆで操作と同様ビオラキサンチンの減少が大きく、ルテイン、beta-カロテンの減少は少なかった。以上の結果ビオラキサンチンは加熱調理において最も反応性に富み、自らが酸化・分解されることによって、ビタミンA効力の高いbeta-カロテンの損失を最小限にしていると考えた。
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