1992 Fiscal Year Annual Research Report
寝たきり老人の介護指標としての体動測定値の利用について
Project/Area Number |
03680092
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Research Institution | Yasuda Women's College |
Principal Investigator |
楠 幹江 安田女子短期大学, 教授 (40071609)
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Keywords | 寝たきり老人 / 介護指標 / 体動 / 体性運動機能 / 最大静止時間 |
Research Abstract |
日本は世界に名だたる高齢化社会の国であるが、寝たきりの状態で老後を送っている人も少なくない。寝たきり老人を取り巻く問題は、生活のあらゆる方面にわたっており、困難な問題が数多くあるが、中でも基本的且根本的問題は介護の問題である。現在の介護は、家庭介護が中心であるが、核家族化に伴う子供の数の減少、女性の社会進出の増加などによって、21世紀においては、公的機関での介護が増加することが予測される。このため、寝たきりの状態を客観的に把握し、介護を理論的に実施するような指標が必要である。本研究は、公的機関での寝たきり老人の介護指標を得るために、体性運動機能である体動を記録し、寝たきりの状態を客観的に把握しようとするものである。10人の被験者を対象に体動実験を行ったが、体動測定値には、かなりのバラツキがみられた。種々の体動測定値の中では、最大静止時間が有効であると判断し、120分を床ずれ誘発限界として、120分を境に、被験者を2グループに分類した。最大静止時間が120分以上のグループの身体的状況は当然ながら悪く、積極的な介護が必要であると感じた。一方、最大静止時間が120分以下のグループにおいては、健常人と類似の体動を示す被験者もみられ、日常活動への積極的な参加を進める必要があることも感じられた。「寝たきりの状態は、なるのではなく、ならされるのである」といった報告もあるように、介護の初期の段階で、身体的状況を客観的に把握することが大切である。何をもって客観的把握の指標とするのか、については、種々な実験的検討が必要であるが、本実験で使用した体動測定値は、有効な指標となると思われる。さらにデータを積み重ねて、より客観性を持たせたいと思う。本研究で得た知見が、寝たきり老人の介護指標となることを願って、来年度の最終実験に取り組みたいと思っている。
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