1991 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞特異的な糖鎖を含む糖タンパク質に関する研究
Project/Area Number |
03680147
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小堤 保則 京都大学, 薬学部, 助手 (70205425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川嵜 敏祐 京都大学, 薬学部, 教授 (50025706)
岡 昌吾 京都大学, 薬学部, 助手 (60233300)
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Keywords | 昆虫 / 神経細胞 / 糖鎖 / 西洋ワサビペルオキシダ-ゼ(HRP) / イナゴ / マンノ-ス / コンカナバリンA / アフィニティ-カラム |
Research Abstract |
西洋ワサビペルオキシダ-ゼ(HRP)と特異的に反応し、昆虫神経細胞に特微的な糖鎖をもつ糖タンパク質の精製を行い、その糖鎖の構造的特微について検討を行った結果以下のような知見を得た。 イナゴ8000匹の頭部をクロロホルム/メタノ-ルで脱脂後、0.9%塩化ナトリウムを含むリン酸緩衡液(PBS)を加えて糖タンパク質を抽出した。PBS抽出物に硫安を段階的に加えることによりタンパク質を分画したところ、20ー80%の濃度で沈殿する画分に最も多くの活性が回収された。この画分をPBSに溶解後、コンカナバリンAおよび抗HRP抗体を固定化したアフィニティ-カラムにかけ、さらにフェニル5PWガラムを用いた高速液体クロマトグラフィ-により43KDaの分子量をもつ糖タンパク質をほぼ単一にまで精製した。抗HRP抗体を用いたウエスタンブロットによりこの43KDa糖タンパク質分子上に目的とする糖鎖の存在を確認した。次に43KDa糖タンパク質の糖組成を調べたところ、フコ-スを1.0としたモル比でマンノ-スが3.0、キシロ-スが3.8、ガラクト-スが4.4、グルコ-スが8.7、グルコサミンが4.2、ガラクトサミンが0.9モル検出された。また、精製標品をαーマンノシダ-ゼ消化を行ったところ、抗HRP抗体との反応性が失われたことから、43KDa糖タンパク質糖鎖上の非還元末端にはαーマンノ-ス残基が存在し、これが抗HRP抗体との反応性に重要であることが明らかとなった。以上の結果より昆虫神経細胞には、すでに構造の決定されているHRP分子上の主要な糖鎖と類似の糖鎖が存在していることが示唆された。
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