1991 Fiscal Year Annual Research Report
社会科教育における地域素材の教材化の理論と実践に関する総合的研究
Project/Area Number |
03680271
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
森谷 宏幸 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (10036882)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 雅子 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (90036939)
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Keywords | 社会科教育 / 地域素材 / 教材 / 質的教育研究法 / 教材開発 |
Research Abstract |
本研究は、(1)戦後社会科教育研究史・実践史上の地域素材の教材化に関わる文献・資料を収集・分析して、その理論的整理を行い、(2)最近の福岡県内の地域素材の教材化の事例を調査し、そのいくつかについて質的教育研究の方法を用いて事例研究を行い、(3)それらを総合的して、社会科教育における地域素材の教材化の理論を構築することを試みるものであるが、今年度はその第1年次である。 1.社会科教育研究実践史上の「教材」や「教材開発」という概念は、きわめて曖昧で多義に用いられている。若干の研究者・実践家を取り上げ、その教材開発の考え方・方法を検討したが、それらの多様な教材開発の考え方・方法を検討したが、それらの多様な教材開発の理論は、学習者の内面にどのような結果を生じるのかという観点から検討される必要がある。 2.アメリカにおける質的研究をめぐる文献を収集し、その論議を検討し、質的研究の方法論を検討してきた。今後さらにこれらの研究を積み上げ、日本の学校教育の実状に即してしかも簡便な質的研究方法のモデルを開発していくことを模索している。 3.福岡県内のいくつかの小中学校を訪問し、断続的に観察と授業研究を行うとともに、小学校1校、中学校1学級にはいって、集中的な観察を行い、より組織的な質的研究を試みてきた。まだ仮説段階であるが、従来充分に考慮されてこなかった「授業の流れにそわない子どもたちの発言」が、授業を考える上で重要な意味を持っていることが認められている。また、授業には、学校全体の雰囲気や教師たちの暗黙の前提が多様に関わっていることも認められている。今後、事例を重ねてこの面からも地域素材を教材にした授業の意味を考えたい。以上のような研究の経過をふまえ、今後さらに事例を積み重ねて研究の集約に向かいたい。
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