1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03801030
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大江 節子 京都大学, 文学部, 助手 (00213637)
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Keywords | ウル第三王朝 / 裁判の地域的偏差 / 制度的介入 / 社会正義の賦与 / 王の権能 / グデア / ラガシュ |
Research Abstract |
本研究では、シュメールにおいて裁判記録が初出する初期王朝期末から、シュメール人による最後の支配王朝であるウル第三王朝期までを通して、通時的に、シュメールにおける裁判制度の発展を跡づけることが目的であった。 今年度までに得られた成果は、 1.ウル第三王朝時代の裁判は、同王朝の版図内では必ずしも画一ではなく、各地域によって裁判のあり方に偏差がある。 2.この地域における偏差は、単に雑多な違いではなく、裁判の組織化過程の、段階的相違である。 3.ウル第三王朝時代では、ラガシュ都市の裁判が際立って組織化され、ウンマ市その他の都市がそれに続いている。 4.各地の偏差は、ウル第三王朝時代末には徐々に消え、画一化してる。 5.ウル第三王朝時代にみられるこの裁判組織の進展は、支配者が、各地の裁判を徐々に制度として組織化して、裁判に制度的に介入するようになり、裁判権を、その権能の1つとするようになる過程を表わしている。 6.初期王朝期ラガシュ市の裁判では、一定の権威が制度的に裁判に介入していたわけではなく、また他都市と較ベて特に組織化されていたわけでもない。 7.おそらく、ウル第三王朝時代直前、ラガシュ市のグデア王辺りから、「社会正義の賦与」と支配権が結びつき、先ずラガシュの裁判が急進的に組織化される。ウル第三王朝時代に至ると、王によって、それが全国的に拡大された、と考えられる。
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