1991 Fiscal Year Annual Research Report
角運動量量子論の拡張とYangーBaxter関係式
Project/Area Number |
03804020
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野村 正雄 東京大学, 教養学部, 助手 (10012402)
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Keywords | 角運動量量子論 / YangーBaxter関係式 / 量子群 / 生成消滅演算子 / 共変形式 / 回転群表現行列 / テンソル積 |
Research Abstract |
本研究の目的は、角運動量量子論で知られるウィグナ-・ラカ-代数を、群論の一大拡張として数年来発展のあった量子群を基礎として、根本的なまでに拡張することである。出来れば原子核モデルの拡張等多体問題で拡張した理論の有効性を検討していく。 研究の初年度として、パソコンとプリンタ-を購入した。これら計算機器には不慣れであったため慣れまでに予想外の日時を要したが、研究課題での計算プログラム開発等につき思索試行する段階となった。また、補助金利用の研究会参加で、研究課題の現状と問題点について情報の収集を行った。 二点で新たな知見が得られた。一つは、通常非線形的側面のみ強調されていた量子群の表現理論を、或る種の一次変換に関する共変形式して体型づけたことである。この共変形式の進展に伴い、フェルミオン・ボソンの生成消滅演算子の自然な拡張を見いだし、新たな生成消滅演算子とその交換関係を規定できた。ハ-トレ-・フォク的な共変性とBCS.ボゴリュ-ボフ的な共変性の二種類を定式化した。この知見で本論文二個を発表した。また、ドイツのゴスラルで行われた第二回ウィグナ-・シンポジウム、およびニュ-ヨ-クで行われた物理学者・数学者の合同による国際会議で招待講演をし、存外の反響を得た。他の新知見は、粒子の交換に対し非対称な形をしていることで特徴ずけられている量子群的余積を、見かけながらも対称な形に表わす理論形式を見いだしたことである。物理的な構成にむけ一歩前進したことを意味する。この進展との関連で、量子群の表現行列を上述の新たな生成消滅演算子で表わすこともほぼ成功した。二点目の新知見については、引続き検討を加え論文等で発表の予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 野村 正雄: "Coーand ContraーVariant Tensors of a General rank in Quantum Matrix Algebras suf(2)Expressed by CreationーAnnihilation Operators.I" Journal of the Physical Society of Japan. 60. 3260-3270 (1991)
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[Publications] 野村 正雄: "Coーand ContraーVariant Tensors of a General rank in Quantum Matrix Algebras Suq(2)Expressed by CreationーAnnihilation Operators.II" Journal of The Physical Society of Japan. 60. 4060-4070 (1991)