角運動量量子論の拡張とYang-Baxter関係式

1993 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 03804020
• Research Institution: University of Tokyo
• Principal Investigator: 野村 正雄 東京大学, 教養学部, 助教授 (10012402)
• Keywords: 量子群 / Yang-Baxter関係式 / 生成消滅演算子 / 共変形式 / 角運動量量子論 / テンソル積 / n次ユニタリー群 / ボブリューボフ変換

Research Abstract

研究目的は、角運動量量子論で知られるウィグナー・ラカー代数を、量子群を主な基盤として、根本的なまでに拡張することである。
本年度は、引き続いての研究の他、研究初年度、次年度の研究で得られた成果を全面的に再チェックした。このために当課題で購入したパソコンを利用し、多少の手計算では出来ない類の計算を迅速に行った。
本年度の主な成果は次の通りである。
1.理論体系は、量子群の理論に関係して、いわゆるq数で書き表されるが、これを有効に扱えるように二項定理を多方面から拡張した。可換な数式を母関数の意味で非可換な表示に換えるなどの技法を体系的にまとめた。
2.角運動量理論で重要である関数、即ち、クレブシュ・ゴルドン係数、ラカー係数等について、研究初年度と次年度に発表したものを更に深化させ、n-jシンボルの統一的拡張に大きく前進した。
3.回転群の拡張をヒントに、ヤング図表(即ち、シュール関数)の拡張を探り、対称群の五次までにつき具体的構成を得た。これは、数学の分野で最近までに得られているものとは基本的に異なる構成で、全く新しい成果である。(対称群一般の場合は今後の研究に残された。)
当研究成果を全体的視野でまとめるべく単行本の完成を急いでいる。原子核理論・数理物理分野で著名なBiedenharn博士との共著である。

Research Products

• [Publications] 野村正雄: "On quantized quantum-analog rotation functions" Journal of the Physical Society of Japan. 62. 36-45 (1993)
• [Publications] 野村正雄: "Covariant and quantized representation functions of quantum group SUq(2)" Geometric Methods in Theoretical Physics. 298-301 (1993)
• [Publications] 野村正雄: "Covariant q-boson operator description of Uq(n)basis matrices" Symmetries in Science. 6. 537-552 (1993)
• [Publications] 野村正雄: "Boson-fermion operators for description of Young diagrams and related topics" Symmetries in Science. 7. 445-456 (1994)