1991 Fiscal Year Annual Research Report
人為起源大気エアロゾルの増加が地球温暖化に及ぼす影響の評価
Project/Area Number |
03805046
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
太田 幸雄 北海道大学, 工学部, 助教授 (00100058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山形 定 北海道大学, 工学部, 助手 (80220242)
村尾 直人 北海道大学, 工学部, 助手 (00190869)
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Keywords | 人為起源大気エアロゾル / 地球温暖化 / 煤粒子 / 硫酸粒子 / 大気エアロゾルの光学特性 / 大気エアロゾルの全球分布 / 太陽放射反射率 / 人工衛星デ-タ |
Research Abstract |
本研究では、まず地球大気中のエアロゾルを、北極圏大気エアロゾル、陸上(大陸性)大気エアロゾル、北半球海洋大気エアロゾル、南半球海洋大気エアロゾルおよび南極大気エアロゾルの5つのタイプに区分した。次にこれまでに世果各地で様々な研究者により行われてきたエアロゾルの成分測定結果について文献調査を行い、さらに本研究班が小笠原諸島や北海道ニセコ山麓で行ってきた成分測定結果をも合わせて、上記の5つのエアロゾルについて組成分析結果に基づきその光学特性を与えた。また、これまで行われた光学的厚さの測定結果を基に地球規模での大気エアロゾルの分布を得た。以上のエアロゾル分布に対して、放射伝達方程式を解いて大気上端での太陽放射反射率を求め、ブディコ型の熱収支気候モデルを適用することにより、まず、現在存在している大気エアロゾルが地球の気候に及ぼしている効果を見積もったところ、現存するエアロゾルにより地球は約1℃冷却されていることが分かった。次に、今後の人間活動の拡大の結果として、大気エアロゾルのうち特に煤粒子と硫酸粒子が2倍に増加した場合の影響を予測した。煤粒子のみが全球的に2倍に増加した場合には極域で0.8℃と、熱帯域で0.2℃の気温上昇をもたらすが、一方硫酸粒子のみが2倍に増加した場合には逆に極域で0.3℃、熱帯域で0.1℃の気温低下をもたらし、人為起源大気エアロゾルの増加は地球温暖化に対して無視し得ない影響を及ぼすことが分かった。ただし、以上の計算に用いられた大気エアロゾルの全球分布モデルは散発的な光学的厚さのデ-タに基づいて作成されたものである。それゆえ、現在、人工衛星デ-タを用いた大気エアロゾルの全球分布の推定法についての研究を継続中である。人工衛星NOAAデ-タを用いた北海道沖の海上大気エアロゾル量の推定では実測値とよく合う結果が得られており、今後、この研究を継続して行く予定である。
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