1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03807117
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
坂田 広志 広島大学, 医学部・附属病院, 講師 (50093761)
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Keywords | 上斜筋 / 網膜格子状変性 |
Research Abstract |
1.実験方法 離乳直後の幼若家兎の上斜筋腱付部を露出した後、4‐0絹糸で腱全体を束ねた。絹糸はループにして結膜上に出して置き、しかも感染が起きないように、強膜が露出しないように入念に結膜を縫合した。ついで、磁石とモーターを利用して自作した振動器から伸びるナイロン糸と、ループ状にした絹糸を連結することによって、1か月間毎日1日1時間の加重を上斜筋腱付着部に与え、強制的に上斜筋の収縮を生じせしめた。ここまでの実験操作は、これまでの研究と同じであるが、今回はその後3から6か月にわたる長期の無刺激期間を設けた後、眼球を摘出して、肉眼的ならびに光学的顕微鏡で、刺激部位を中心とした組識を観察した。 2.実験結果 (1)肉眼的には上斜筋腱の強膜付着部付近に相当する網膜は、刺激を加えなかった対照眼のそれとほぼ同じ外観を呈し、急性期に見られた、上斜筋腱付着部付近に相当する網膜の変色部位は消失していた。 (2)光学的顕微鏡では、対象眼のそれに比べて、上斜筋腱付着部付近に相当する脈絡膜は菲薄化し、また、その部位の強膜の膠原線維の走行も著明に乱れていた。しかし、網膜は正常であった。 3.今後の見通し '91年度の急性期実験(上斜筋牽引後2か月まで)に引き続き、今回の炎症鎮静期においても、脈絡膜の変化が確認できた。網膜は脈絡膜から栄養を受けているので、いずれ網膜にも組織学的変化が出てくる可能性が高いと推定される。しかし、今回の研究から推定すると、網膜の変化が出てくるのは年余にわたるものと考えられる
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