1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03807117
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
坂田 広志 広島大学, 医学部・附属病院, 講師 (50093761)
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Keywords | 上斜筋 / 網膜格子状変性 |
Research Abstract |
自作した振動器によって、幼若家兎の上斜筋腱付着部に、種々の期間毎日1時間の刺激を与え、無刺激期間を設けた後に眼球を摘出して、肉眼的ならびに光学顕微鏡で観察した。 2-3カ月の無刺激期間後、肉眼的には上斜筋腱の強膜付着部付近に相当する網膜が、対照眼のそれに比べて、びまん性に変色している印象があった。また、光学顕微鏡では、対照部付近に相当する脈絡膜が、対照眼のそれに比べて、2カ月後には強い浮腫が、3カ月後には軽度の萎縮が見られた。 全期間を通じて強膜は肥厚し、膠原線維の走行は乱れていた。しかし、網膜の構築は正常であった。 上斜筋を持続的に牽引すると、それは眼内にも影響を与えて、脈絡膜や網膜に変化が出てくることは分かった。しかし、ヒトの網膜格子状変性は境界が鮮明で、変性巣内を走行する網膜血管は閉塞していることが多い。この点は、今回の研究で得られた、びまん性の網膜の変化や単なる脈絡膜の充血といった結果とは異なる。今回は、3カ月の非牽引期間を設けたが、臨床的に見る網膜格子状変性の発生には到らなかった。今後は、さらに数年単位の無刺激期間を設けて、研究をする必要がある。
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