1993 Fiscal Year Annual Research Report
下唇知覚麻痺症例における寒冷血管拡張検査の応用に関する研究
Project/Area Number |
03807135
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Research Institution | School of Dentistry, Aichi-Gakuin University |
Principal Investigator |
中山 和久 愛知学院大学, 歯学部・口腔外科1, 講師 (10175507)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒尾 宗孝 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (90175183)
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Keywords | 下唇知覚麻痺 / 寒冷血管拡張検査 / サーモグラフィー |
Research Abstract |
平成3年度に開発された冷却負荷装置、ならびに平成4年度に行なった下唇麻痺患者に対する寒冷血管拡張検査を、サーモグラフィーを用い分析し、平成5年度には下唇麻痺患者に対して現在行われている治療法の効果と、麻痺の回復程度、予後の推定について検討を加えた。 本研究期間中に本冷却装置を用いて判定可能であった片側性下唇麻痺患者は20例であった。その原因の内訳は、抜歯操作によるもの9例(45%)、局所麻酔によるもの3例(15%)、下顎矢状切断術後2例(10%)、炎症(骨髄炎など)2例(10%)、インプラントに関連するもの2例(10%)、嚢胞摘出1例(5%)、根充後1例(5%)であった。 治療法はレーザー治療単独2例(10%)、薬物療法単独1例(5%)、その他1例(5%)、レーザー治療と薬物療法の併用が16例(80%)であった。治療法による評価は症状のばらつきや、症例数が少なく比較検討は行わなかった。初診時、治療中、治療後もしくはいずれかに行った寒冷血管拡張検査所見に加え、患者本人の具体的な訴えと、術者による臨床的な予後評価を加えた。 寒冷血管拡張検査における患側の温度変化と具体的な患者の訴えとの傾向では、“麻痺感が気にならない"ものでは、健側患側皮膚表面温度の差、温度回復の早さに明らかな差はみられなかった。また、“麻痺感"を訴えるものに対しても同様であった。しかし、蟻走感、違和感など“知覚過敏症状"を訴えるものでは70%に患側皮膚温の上昇が健側より早い(逆転現症)が見られた。知覚過敏症状は神経再生時に見られることが知られていることなどから、健側皮膚温度の上昇は臨床的には、神経(知覚麻痺)の回復期にあることを示唆する有効な客観的所見と思われた。 今回までの研究では、神経損傷の程度、患者の訴えの多様性、症例数、観察期間の問題など、未解決な要素も多く、今後も引き続き研究を行う予定である。
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