2003 Fiscal Year Annual Research Report
明治初期の日本におけるリベラリズムの受容、1868-1889年
Project/Area Number |
03F00012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡辺 浩 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHOI Kwang Pil 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 日本史 / 明治 / リベラリズム / 近代秩序 / 明六社 / 明六雑誌 / 儒教 / 近代思想 |
Research Abstract |
本研究の目的は、19世紀後半の日本はなぜ他の東アジアの国々とは異なり、西洋の帝国主義国家と張り合うことができたのかについて答えを求める研究である。例えば、日本の何が、同じ儒教文化圏にあった中国や韓国よりいち早く近代化を進める原動力になったのか。その答えを日本が地理的に中華文化圏から離れていたとか、当時帝国主義国家間の中国を巡る角逐戦のため時間稼ぎができたなどの視点ではなく、徳川末期の儒学と西洋のリベラリズムの親和性に求めたい。 私にとって最も大事なことは、徳川末期儒学に関わる資料の読解力を身に付けることであった為、4月から渡辺教授の二つのゼミに参加した。一つは明治初期に行った岩倉使節団の欧米回覧を記録した「欧米回覧実記」を読み、その内容に関して討論を行うものだった。このゼミのカタカナ文を読む過程で儒学者の目に西洋は如何に見えたのかを理解することができた。同時に、時代脈絡を捉えることにも大きな助けになった。もう一つは、漢文とカタカナ文に書かれた阪谷徴の作品を読むゼミで徳川の重要な資料を読む能力を修得するのに大いに役立った。 9月からは苅部教授の授業を聴講した。内容は日本政治思想史であり、日本の性理学、徂徠学、国学などの系譜を勉強した。そしてゼミや授業を通じて私の研究に必要な古文書の読み方と基本的な知識を得ることができた。 また個人的には、日本の近代思想を開いたと一般的に考えられた徳川儒学の一人である荻生徂徠の著作を読みながら、西洋のリベラリズムとの内容を比較整理している。具体的な比較対象はホップスである。徂徠とホップスとの比較は明治初期リベラリズムの受容を分析することにおいて基本的な知識を与えてくれる。更に明六雑誌の全体的な観念を捉えるため、その雑誌内容の論争点を中心に整理している。 今年の一月の一時帰国時には、朝鮮末期の儒学である性理学と徳川末期の儒学との比較研究資料の入手に努め、また朝鮮末期専門学者との意見交換を行うなどした。
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