2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03F00015
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上原 一慶 京都大学, 経済研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SUN Yixuan 京都大学, 経済研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 租税国家 / 財政システム / 漸進改革 / 体制転換 / 政府間財政関係 / 税制 / 国債 |
Research Abstract |
平成15年度は特別研究員奨励費を、圭にパソコン、書籍など研究備品の購入および日本国内の学会参加、海外(中国)調査の旅費などに充当した。おかげさまで、研究が捗り、その研究成果を論文2本にまとめることができた。その概要は次の通りである。 1.「中国「租税国家」への転換過程と現状」『財政と公共政策』創刊号(通巻第34巻)2003年10月掲載 内容:計画経済時代の中国では、単一的な経済構造のもと、国営企業からの納付金・利潤上納が国家財政の主な収入源であった。改革・開放政策とは、単一の所有構造から、多様な所有形態の企業が併存する混合経済に変え、これら多様な経済主体が市場で平等に競争するシステムをつくるものである。こうした経済体制の移行に伴い、国家の財源調達システムは、従来の国営企業からの利潤上納に依存する「家産国家」的構造から経済全体から租税によって財源を調達する「租税国家」的構造への転換が不可避となった。本稿は、中国の税制改革の展開過程の分析を踏まえ、こうした中国の「租税国家」への転換過程とその現状に考察を加えたものである。 2.「中国財政システムの転換と現状」上原一慶編『中国・ロシアの国際比較と体制転換像-体制転換論の最先端』(仮題)高菅出版、2004年刊行予定 内容:1978年に始まった中国の経済改革は、すでに四半世紀が過ぎた。他の旧社会主義国の「ビッグバン」方式改革と比較される場合、中国の「漸進的」方式改革は今の所高く評価されている。改革当初、農村請負制改革、経済特区の設立と財政分野の改革は経済改革の突破口に選ばれたが、振り返ってみると、その中でも財政改革は中国の経済改革の特徴である「漸進性」を最も反映しているように思われる。本稿は、改革・開放以降の中国財政を取り上げ、財政収支、政府間財政関係の変化、近年実施している積極財政政策を分析することで、改革・開放後中国財政システムの転換の現状とその特徴を明らかにした。また、「漸進的」財政改革がもたらした負の側面と今後の課題についても検討を加えた。
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Research Products
(2 results)