2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03F00017
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
斉藤 照子 東京外国語大学, 外国語学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NANG MYA KAY KHAING 東京外国語大学, 外国語学部, 外国人特別研究員
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Keywords | ミャンマー / 国内労働移動 / 農村の経済構造 / 都市インフォーマル・セクター / ヤンゴンの縫製工場労働者 / 過剰都市化 |
Research Abstract |
1990年以降ヤンゴンへ労働力の移動が起きているが、その要因を農村の経済構造にみるために、2003年10月上旬ヤンゴン管区に隣接しているバゴー管区タナッピン郡タッカネイン村落集(以下「T村」と称する)において調査を実施した。T村の人口は1370人(一世帯構成員4.6人)である。全世帯数299のうち農民世帯が172(57.5%)でその他の127世帯(42.5%)は農地なし世帯となっている。農地なし世帯が従事する仕事内容は、一年通して雇われる農業労働者が30世帯、短期間しか雇われない季節農業労働者(日雇い農労も含む)70世帯、漁師12世帯、雑貨経営者8世帯、ビデオ店経営者3人、豆のブローカー2世帯、学校のスタッフ2世帯となる。1997年から乾季における米やリョクトウ生産が導入しており、乾季米を生産(可能と)する農家の家計は比較的に余裕のある農家であるといえる。なぜなら乾季米の作付けは雨季米のそれより高い費用を要するからである。T村の農家50世帯、季節農業労働者20世帯、日雇い労働者19世帯、合計して89世帯において調査した。その結果、1988年以降のT村からの流出者23世帯(25.8%)のうち16世帯が農家で、その他の7世帯は非農家である。移動者の7割(17世帯)は「仕事を求めて」移動している。移動の特徴は、農家出身者が都市部へすでに移動している地縁・血縁的ネットワーク(親戚・同郷人・友達)を通じてヤンゴン市とバゴー市へ移動し、そして都市インフォーマル・セクターで就業している。このように農村部における労働力を移動させるプッシュ要因に(1)現金化の進行、(2)農村内所得格差、(3)非農業職種の欠如、(4)農業の政策的問題、(5)有効な補助金制度の必要性、(6)地理的問題が挙げられる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 藤巻正己, Nang Mya Kay Khaing: "東南アジアの都市化状況と都市問題-後発途上国ミャンマーを事例として-"現代東南アジア入門(藤巻正己, 瀬川真平編). 133-156 (2003)
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[Publications] Nang Mya Kay Khaing: "ミャンマーの首都ヤンゴンへの労働移動と就労実態-縫製工場調査より-"立命館国際地域研究. 第22号. 277-295 (2004)
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[Publications] ナンミャケーカイン: "ミャンマーにおける都市インフォーマル・セクター-サイカー運転手および露天商の実態を中心に-"市場経済移行下のミャンマー-その発展過程および現状-(藤田幸一編). 221-264 (2004)