2003 Fiscal Year Annual Research Report
フィードフォワードニューラルネットワーク手法を用いた短期気候予測の研究
Project/Area Number |
03F00030
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木本 昌秀 東京大学, 気候システム研究センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIAQAT Ali 東京大学, 気候システム研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | ニューラルネットワーク / 気候予測 / 非線型力学系 |
Research Abstract |
ニューラルネットワークを用いて観測データからその背後にある力学系の時間発展方程式を推定する新しい手法を開発した。 気象や気候現象は複雑な振る舞いを示す非線型力学系の例であり、そのシミュレーションのため、物理法則から演繹的にコンピュータモデルを構築する方法が開発され、天気予報や地球温暖化による気候変化の予測に用いられている。このような気候の物理モデルは非常に多くの自由度〜予報変数を持つため、その長期的振る舞いを理解することは、自然を理解するのと同様に困難である場合が多い。しかし、気候変動現象の多くはより少自由度の現象論的モデルによって解釈、理解される。すなわち、系の時空間的に大規模、長周期の振る舞いはミクロな物理を超えたマクロなダイナミクスに支配されていると考えることができる。ここで開発した手法は気候系などの力学系からサンプルされた不完全かつノイズを含む多変量時系列からそのマクロな振る舞いを支配する微分方程式を再構成するものである。これまでの方法と異なり、まず階層的ニューラルネットワークにより多変量時系列を近似すし、さらにその結果を用いて系の振る舞いを支配する連立非線型微分方程式を構築するものである。ノイズに強いという利点がある。構築された手法は系の振る舞いの予測に用いることができる。 開発した手法をローレンツ力学系に適用して予測を行い、統計的手法などの従来の時系列予測手法と比較したところ、有効な予測時間が数倍以上に改善されるという結果を得た。次年度はエルニーニョなど実際の気候現象の時系列に適用し、予測可能性を探る。
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