2003 Fiscal Year Annual Research Report
実用性・高信頼性岩盤地すべり危険度評価法と世界遺産マチュピチュの保護
Project/Area Number |
03F00063
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐々 恭二 京都大学, 防災研究所, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GREIF Vladimir 京都大学, 防災研究所, 外国人特別研究員
|
Keywords | 文化遺産 / 岩盤斜面の安定性 / 地すべり危険度評価 / 実用性高信頼性現地計測 / 個別要素法 / 物理モデル / 世界遺産マチュピチュ |
Research Abstract |
「実用性・高信頼性岩盤地すべり危険度評価法と世界遺産マチュピチュの保護」の研究課題について試験地での観測的研究、数値実験、およびマチュピチュのモデリングについて以下の三つの研究を実施した。 1.岡山県中部高梁市の文化遺産である備中松山城の不安定岩盤斜面を岩盤変位と岩盤崩落のメカニズムの関係を解明するための試験地として観測機器の開発・設置、観測データの収集と解析の研究を実施した。当該試験地において、ペルーの世界遺産マチュピチュ遺跡の岩盤斜面変動観測に導入する予定の監視システムの信頼性と妥当性の検証を実施した。具体的には、差動トランスを用いたクラック変位計と伸張計によるデータ収集および現場での連続観測の信頼性、ネットワーク指向・サーバー型の現地計測機器の新遠隔監視システム「TOLIDASS = Teletry-Oriented LInux-based Data Acquisition Server System」の試験観測についてのデータを収集した。またトータルステーションによる連続観測実施のための予備調査を実施した。現在までに上記観測によって得られたデータと現地調査から、過去の末端部に地すべり地形があるが、ここで地すべりが再活動し、それによって斜面上方における岩盤斜面が不安定になり岩盤の変位、落石等の被害が生じたと推定した。 2.個別要素法(DEM = Distinct Element Method)を用いて様々な境界条件下で斜面崩壊メカニズムのシミュレーションを行った。その結果によって、岩盤斜面変形の計測及び物理モデルは向上された。備中松山城の岩盤斜面の崩壊メカニズムを考慮し、自然状態(形状・大きさ・岩盤傾斜)に対応し、そして同時に広範囲の安定境界条件をシミュレートできる物理モデルを構築した。このモデルを元にした新たな2次元解析コード(2DPMD)を開発した。 3.入手したペルー国・クスコ州のマチュピチュ地域を含むウルバンバ川流域1:10 000の等高線図を元にして、マチュピチュ地域の3次元コンピュータモデルを作成した。またこの3次元モデルを用いて、仮想的に上空を旋回飛行する三次元フライバイムービーを作成し地形の可視化を試みた。垂直に近いの崖地形が多い当該地域では地形図だけの情報による数値モデルと空中写真との合成や地形解析は十分な制度を確保するのは容易でないことがわかった。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] Greif Vladimir, Sassa Kyoji, Fukuoka Hiroshi: "Monitoring of rock displacements using linear variable differential transformer (LVDT) sensors"Proceedings of 42^<nd> symposium of Japan landslide society, Toyama. 277-280 (2003)