2003 Fiscal Year Annual Research Report
複数のπ共役系化合物からなるかご状有機構造体の内部空間に閉じこめた金属ナノクラスターの設計
Project/Area Number |
03F00067
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小西 克明 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
XU Feng 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 金クラスター / 金属クラスター / ポルフィリン / コンテナ錯体 / かご状化合物 |
Research Abstract |
分子レベルで制限されたミクロ空間環境においては「開放系」にはない特殊な事象が発現することが知られている。本研究で我々は、かご状有機構造体の内部空間に、金属ナノクラスターを1粒子だけ閉じこめることを計画した。すなわち、独特な表面構造や量子サイズ効果に由来する特異な触媒能、電子的性質を示す金属クラスター類を、有機物からできた制限された空間内に孤立化し、その特異な環境を利用した新機能の開拓をめざした。ここではその第一段階として、有機ユニットとしてポルフィリンを用い、クラスター周りに集積した複数ポルフィリン間の架橋反応により、クラスターを閉じこめたかご状マルチポルフィリン構造体の設計を検討した。 金属クラスターとしては、粒径14ÅのAu_<55>クラスターを用いた。合成は、AuクラスターとZnポルフィリンのそれぞれに特異的に配位相互作用して、「リンカー」として働く2官能性配位子(L=SCH_2(4-Py):チオレート→Au、ピリジル基→Zn)を利用した。すなわち、Py基を外縁部に持つAu_<55>クラスターの周辺に、配位相互作用を介して複数個のZnポルフィリンを集積組織化させ、その後、その4つのフェニル基上に配した末端olefin官能基間をGrubbs触媒を用いたメタセシス反応で架橋した。この際、架橋性官能基が-OCH_2CH=CH_2,-OCH_2CH_2CH=CH_2のいずれを用いた場合にも、6つのZnポルフィリンから構成された「閉じたかご状構造体」が高収率で得られることがわかった。さらに、得られた複合体について、ポルフィリン部位の誘導化を検討したところ、酸処理によるフリーベース化、それに引き続くメタル化反応のいずれも、ポルフィリンモノマーと同様に効率的に進行することがわかった。
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