2003 Fiscal Year Annual Research Report
安定なケイ素・ゲルマニウム・スズ二価化合物を基盤とする異常分子の合成
Project/Area Number |
03F00068
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉良 満夫 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SELVARAJAN Nagendran 東北大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | シリレン / 高周期14族元素二価化合物 / 安定高周期14族元素不飽和化合物 / 1,2-ジクロロジシラン / 非対称ジシレン |
Research Abstract |
本研究計画では最近受入研究者らが安定化合物として合成することに成功したシリレン(1)など高周期14族元素二価化合物を機軸化合物として、これまで未知のさまざまな安定高周期14族元素不飽和化合物に誘導し、その構造と反応性を明らかにしようとしている。この研究での合成目標化合物は、ケイ素-炭素およびケイ素-酸素二重結合化合物、1-シラアレン誘導体、分極したジシレンなど、特異な電子状態、構造を持つ一群の化合物であり、これまでまったく知られていない構造様式の分子も含まれており、いずれも現在、多くの研究者たちの標的化合物となっている。この目標に向けて、本年度は環状安定シリレン1と種々のジクロロシランとの反応による対応する1,2-ジクロロジシランへの誘導とそのアルカリ金属還元による非対称ジシレンの合成を中心に研究した。シリレン1と種々のクロロシランとの熱的反応はクロロシラン上の置換基のかさ高さの影響を大きく受け、ジメチルジクロロシランとは容易に反応し期待通りの生成物を与えるが、ジフェニルジクロロシランとの反応では同条件下2週間以上反応させる必要があった。また、ジイソプロピルジクロロシランなどかさ高い置換基を持つものでは反応はまったく進行しなかった。一方、ジイソプロピルクロロシランやジフェニルクロロシランなどヒドリドクロロシランとシリレン1との反応では対応するケイ素-塩素結合へのシリレンの挿入した生成物が比較的容易に得られた。現在、得られた1,2-ジハロジシランのカリウムグラファイトなどによる還元を試みている。
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