2003 Fiscal Year Annual Research Report
動的速度分割に基づくリン原子上に不斉中心を有する亜リン酸トリエステルおよびその誘導体の不斉合成
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03F00069
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
早川 芳宏 名古屋大学, 大学院・情報科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NURMINEN Erkki 名古屋大学, 大学院・情報科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ホスホロアミダイト法 / 動的速度分割法 / 不斉合成 / 光学活性カルボン酸 / オリゴヌクレオチド |
Research Abstract |
光学活性促進剤を用いるホスホロアミダイトとアルコールの縮合反応による各種非対称リン酸トリエステル関連化合物の動的速度分割による不斉合成、および核酸塩基部の保護基を必要としないアミダイト法による超高効率ヌクレオチド合成について研究を行った。 まず、両研究の鍵ともなる、ホスホロアミダイトとアルコールの縮合反応における新規促進剤の開発を行い、各種カルボン酸類が有効な本反応の一般的促進剤になりうることを発見した。この発見を基に光学活性カルボン酸を促進剤に用いるホスホロアミダイトとアルコールの縮合反応による各種非対称リン酸トリエステル関連化合物の動的速度分割による不斉合成を検討した。その結果、本戦略で各種非対称リン酸トリエステル関連化合物が不斉合成されることを確認した。現在の所、その不斉収率は満足すべきものではないが、本研究者が本反応の促進剤として見出したカルボン酸は、これまで用いられてきたアゾール類に比べ、光学活性体を得るのが容易であるため、本新合成法は、より一般的な方法として今後の発展が大いに期待されるものである。 ついで、カルボン酸を促進剤に用いるアミダイト法によるオリゴデオキシリボヌクレオチドの合成研究を行った。その結果、アセトニトリル中でpKa=10-23を示すカルボン酸類が一般にヌクレオシドホスホロアミダイト反応の促進剤に成りうること、またその中のいくつかを促進剤に用いる反応では、核酸塩基部を保護しなくても目的とするインターヌクレオチド結合形成が達成できることを見出した。本法は、核酸合成における理想法と言われる「塩基部無保護核酸合成法」の基礎をなすもので、その完成が核酸科学研究に及ぼす効果は絶大である。そのため、早期完成が強く望まれている。なお、本研究の成果は、2004年7月に英国バーミンガムで行われる"16^<th> International Conference on Phosphorus Chemistry(ICPC2004)"で発表することになっている。
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