2003 Fiscal Year Annual Research Report
高圧反応速度論を用いた液相電子移動過程の機構論的研究
Project/Area Number |
03F00070
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
浅野 努 大分大学, 工学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SHIHAB Mehdi S. 大分大学, 工学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 電子移動 / 圧力効果 / 活性化体積 / 溶媒効果 / 動的溶媒効果 / ビオローゲン |
Research Abstract |
下記の研究を行った。 1.N-ethyl-4-methoxycarbonylpyridinium iodideをアセトニトリルに溶解し、光照射によって生成したラジカルと考えられるものの吸収極大波長における吸光度の時間依存性を測定した。その結果、吸光度の減少が一次速度式に従うことを確認した。しかし、得られた速度定数は圧力、温度、溶媒にほとんど依存しなかった。従ってこの実験で得られた速度定数が2つのラジカル間における熱的逆電子移動過程の速度定数であるという確信が持てなかった。よってラジカル種の特定が容易なビオローゲン誘導体についての測定を優先することにした。 2.窒素原子上に様々な炭化水素基を有するビオローゲン誘導体を合成し、有機溶媒に対するそれらの溶解性を調べた。その結果、メチル基のような小さい炭化水素基およびナフチル基のような大きな平面的炭化水素基をもつものは溶解性に乏しいことが明らかになった。そこでN,N'-dibenzyl-4,4'-bipyridiniumについて陰イオンをCl^-,Br^-,I^-,BF_4^-,C_7H_7SO_3^-などに変え溶解性を調べた。何れの陰イオンの場合も測定可能な程度の溶解度を示し、その溶液に対する光照射によって600nm近傍に吸収極大をもつ種を与えた。文献との比較からこの種はピリジニルラジカルカチオンであると断定できた。何れの陰イオンの場合も塩の溶解性ならびにラジカルカチオン生成の量子収率は満足がいくものとは言えないが、N,N'-dibenzyl4,4'-bipyridinium chlorideについて測定を開始し、現在アセトニトリル中で測定しているところである。 3.有機溶媒に対してより高い溶解度を示すビオローゲンを見いだすためにカルボニル基など極性基をもつアルキル基をbipyridylの窒素原子上に導入することを計画し、現在その合成の準備中である。
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