2003 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属カルコゲン層間化合物を用いたX線導波路の開発
Project/Area Number |
03F00077
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河合 潤 京都大学, 工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KARIMOV Pavel 京都大学, 工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | X線進行波 / X線反射 / 屈折 / 表面分析 |
Research Abstract |
X線導波路は重元素の間に軽元素または真空をはさんだサンドイッチ構造で,単色X線を伝播させる性質を持つ.このような構造の導波路は1973年にSpillerとSegmullerによって提案されて以来多くの研究者によって研究されているが,現在までにその動作が確実な導波路の発表はない.最近,真空層を重元素でサンドイッチした導波路がロシアのEgolovによって発表され,その導波路を使うと,確かに集光特性のあることが実験的に確認できるが,その機構は不明である.本研究では本年度,X線発生装置を自作し,X線検出器と組み合わせることにより,簡易なX線導波特性測定装置を試作した.W/C多層膜,Mo/Si多層膜,Mo/Si多層膜について,導波特性を調べたが,十分な導波特性は示さなかった.一方,Karimovのロシアでの来日前の研究によって,重金属で軽元素をはさんだサンドイッチ構造では,導波路特性はきわめて弱く,BeをCではさんだ構造の方がむしろ良い導波特性を示すことが分かっていたのでこの実験結果は消極的ではあるが理論を支持するものである.軽元素を軽元素ではさんだ導波路の現物が入手できないため本年度はこの導波路実験を行うことができなかったが,一方この簡易なX線導波特性測定装置では,簡易な元素測定ができることが判明した.200ppmの水溶液表面にX線を照射することによって水溶液中の微量元素の定量・定性分析が可能であることを実証できた.また料理用アルミ箔中の微量不純物元素を感度よく検出できることも実証できた.この研究を進めることによって,土壌や食品中の有害金属元素の検出に用いることができること,日用品中にどのような元素が含まれているかを分析できることが分かった.
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