2003 Fiscal Year Annual Research Report
フローサイトメトリーを用いた肝臓における幹細胞の特性解析
Project/Area Number |
03F00140
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
谷口 英樹 横浜市立大学, 医学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHENG Y. ?W. 横浜市立大学, 医学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 幹細胞 / 肝臓 / 細胞分化 / 肝切除 / 細胞移植 |
Research Abstract |
本研究は、慢性肝炎など肝疾患に対する再生医学の医療としての実現を目標として、組織幹細胞を安全かつ簡便に分離・操作する新技術を確立するとともに、幹細胞の分化・増殖機構の分子基盤を解明し、人為的な再生制御を可能とする新規医療技術の開発に向けた基礎的検討を試みるものである。すなわち、単離した肝細胞集団の中から、極少数しか存在しない組織幹細胞を、FACS(fluorescence activated cell sorter)とモノクローナル抗体を用いた精度の高い細胞分離法により純化・回収し、幹細胞のより高度な操作技術(自己複製による培養系における増幅、可塑性の制御等)の確立や幹細胞の分化・増殖機構の解明を行う。 本年度は、特に成体肝臓における肝幹細胞の同定・分離と特性解析を月的とした研究を行った。まず、受け入れ先研究室における先行研究で明らかとなっているマウス胎児肝臓中の肝幹細胞に関する知見を基盤として、ラット胎児肝臓における肝幹細胞の分離を試みた。その結果、ラット胎児肝臓における非血球画分中のICAM-1^+RT1A^<low/->細胞に、高い増殖能・多分化能・組織再構築能を兼ね備えた肝幹細胞が限定的かつ高頻度に存在することが判明した。そこで、幹細胞が活性化されていると考えられる肝障害ラットの肝臓を対象として、同様の細胞が存在するのか否かを解析した。すなわち、AAF(acetylaminofluorene)投与と肝切除を行った肝障害ラットモデルの肝臓を解析したところ、ラット胎児肝臓と同様にICAM-1^+RT1A^<low/->細胞が存在することが判明した。このICAM-1^+RT1A^<low/->細胞の80%以上が、マウス胎児肝臓中の肝幹細胞のマーカーであるc-Metを発現していた。また、FACSで分離したICAM-1^+RT1A^<low/->細胞を対象としたRT-PCRによる解析結果より、この細胞画分にAFP,c-Met、c-Kit,albuminなど肝前駆細胞で発現している複数の遺伝子が強く発現していることが確認された。 来年度の研究では、AAF(acetylaminofluorene)投与と肝切除を行った肝障害ラットモデルの肝臓から、FACSにより分離したICAM-1^+RT1A^<low/->細胞を用いて生体への細胞移植実験を行い、in vivoにおける組織再構築能や多分化能などを解析することにより、成体肝臓における肝幹細胞が同定されることが期待される。これらの研究により、成体肝臓と胎仔肝臓における肝幹細胞の関連性が明らかにできるものと考えられる。
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Research Products
(1 results)