2003 Fiscal Year Annual Research Report
心肥大化シグナルカスケードにおけるPDZ-3LIMタンパク質ENH1を含むシグナル分子複合体の役割
Project/Area Number |
03F00146
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
黒田 俊一 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MATURANA A. D. 大阪大学, 産業科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 心肥大 / プロテインキナーゼ / カルシウムチャネル / サルコメア / 心筋細胞 |
Research Abstract |
心筋梗塞、心不全の重大な素因となる心肥大は、様々なストレスにより刺激されて活性化される心筋細胞内のシグナルカスケードが発症に重要な働きを担っていると考えられている。しかし、心筋細胞の肥大化機構の細胞内シグナルカスケードに関する研究は始まったばかりであり、諸説が入り乱れており、どれが本命のシグナルカスケードであるかは明らかではない。1996年に我々は、Protein Kinase C (PKC)を心筋内サルコメアのZディスクに繋ぎ止める足場タンパク質としてPDZ-3LIMタンパク質,ENH1を同定した。さらに、ENH1との相互作用によりPKCの活性が上昇すること、ENH1がCa^<2+>チャネルを繋ぎ止め、活性化PKCがCa^<2+>チャネルをリン酸化してイオン透過性を高めることを見出している。これらの研究から、「ENH1-PKC-Ca^<2+>チャネル複合体が心筋細胞内Ca^<2+>イオン濃度を恒常的に上昇させ、心肥大化関連遺伝子群の発現を誘導する」と推測して研究をはじめた。 そこで、ラット新生仔由来心筋細胞を用いて、細胞内Ca^<2+>イオンの動態と心肥大化関連遺伝子群の発現に対する上記複合体の影響を、1細胞レベルかつミリ秒単位で詳細に解析した。具体的には、ENH1-PKCε-PKD1-Ca^<2+>チャネル複合体が存在することを、細胞生物学的、生化学的、分子生物学的手法により証明する事に成功した。特にProtein Kinase D1 (PKD1)という新しいキナーゼが存在することと、PKCεがPKD1の活性化に重要な役割を担っていることを示した意義は大きい。現在、どのようにリン酸化シグナルが流れて、Ca^<2+>チャネルの機能を調節するかを電気生理学的手法により明らかにしている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Petheo GL: "Interactions between electron and proton currents in excised patches from human eosinophils."J Gen Physiol.. 122. 713-726 (2003)
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[Publications] Lilla V: "Differential gene expression in well-regulated and dysregulated pancreatic beta-cell (MIN6) sublines."Endocrinology. 144. 1368-1379 (2003)