2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03F00194
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Research Institution | The High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
萩原 薫 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
YAN Qi?Shu 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 電弱ゲージ対称性 / ヒッグス機構 / カイラル理論 / 標準模型 / 精密実験 / テヴァトロン / LHC / リニアコライダー |
Research Abstract |
素粒子物理学の現在最も重要な課題は、ゲージ対称性を自発的に破る機構を明らかにすること、より一般的には対称性の破れの物理を支配する原理を探ることである。電弱ゲージ対称性を破る機構の研究が重要なのは、それを導く幾つかの理論的アイデア、テクニカラーやリトルヒッグス、超対称性標準模型における輻射補正による対称性の破れのアイデア等が存在し、且つそれらをテスト可能な高エネルギー加速器(LHC)が建設中だからである。 本研究では、電弱統一理論の対称性の破れの効果を模型に依らずに記述する枠組みである電弱カイラル理論を発展させ、その適用範囲を、軽いヒッグスボソンが存在する場合に拡張する。さらに、高次効果の計算により質量次元4のオペレータの係数を含んだ繰り込み群方程式を導き、その効果を取り入れた定量的解析を行う。この新しい枠組みを用いて、軽いヒッグスボソンがある理論と無い理論双方を系統的に解析し、現在の電弱精密実験、LEP2、テヴァトロン実験からの制限を求め、LHCと将来のリコアコライダーにおける観測可能なシグナルを検討することが目標である。 今年度は、10月のYan博士の着任を受け、定量計算の為に必要な高性能PCとソフトウエアの購入をすると共に、本年2月9日には、軽いヒッグスボソンを含むカイラル理論パラメータの繰り込み群方程式に関する研究の現状を、素粒子原子核研究所理論部のセミナーで発表した。そこでの議論の結果、この新しい処方による計算結果が、重いヒッグスボソンの極限で従来の結果と完全には一致していないことが明らかとなり、理論計算の慎重な再検討を開始した。問題点を明らかにする為に模型を簡単化し、SU(2)ヒッグス模型の場合の繰り込み群方程式を求め、重いヒッグスボソン極限での一致を実証する。問題点が明らかになりつつあり、この簡単化された模型の場合の理論的結果を近く発表できる見込みである。
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