2003 Fiscal Year Annual Research Report
バングラデシュ、ベンガル堆積盆を構成する地層の化学組成から推定されるヒマラヤ山脈形成史
Project/Area Number |
03F00211
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
鈴木 茂之 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
M. Julleh Jalalur Rahman 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 砂岩組成分析 / モード組成分析 / 重鉱物 / ヒマラヤ山脈 / 後背地 / ベンガル堆積盆 / 国際研究者交流 / バングラデシュ |
Research Abstract |
ベンガル堆積盆の堆積物の分析 1.中新世(2千〜1千万年前)の砂岩試料の顕微鏡用薄片を作成し,砂粒のモード分析を行った。この砂岩には低圧型変成岩である片麻岩由来の砕屑物が多く,ざくろ石を多く含む特徴があることを明らかにした。 2.現世のブラマプトラ河の砂の重鉱物分離を行い,重鉱物組成分析のための薄片,化学組成分析を行うEPMA装置用の薄片の作成を行った。またモード分析用の顕微鏡薄片を作成した。現世の砂は未固結であり,従来の岩石薄片作成法を適用出来ないため,石灰岩の台座上で試料の砂をペトロポキシで固化させ,それで薄片試料を作成する方法を考案した。重鉱物組成分析の結果,角閃石に富み,青色の角閃石も含むことが明らかになった。モード分析の結果高圧型の変成岩である片岩由来の砕屑物が多いことが明らかになった。 得られた結果の意義と今後の展望および研究計画 1.中新世の時期では,堆積物をもたらしたヒマラヤには低圧型の変成岩が広く露出していたのに対して,現世では高圧型の変成岩からの供給が卓越しているという,ヒマラヤの発達を明らかにできた。現世の砂に含まれる青色の角閃石は高圧型の変成岩由来の証拠となるため,EPMA分析を行っているところである。 2.現世のベンガル堆積盆の砂の特徴については4月下旬に広島大学で行われる堆積学研究会において共同研究としてラーマン博士が発表する予定である。中新世から現世の堆積物の組成変化とヒマラヤ山脈の発達については8月下旬にイタリアで行われる第32回万国地質学会において,共同研究としてラーマン博士が発表する予定であり,アブストラクトは受理されている。 3.なおフィリピンのルソン島の砂岩のモード組成分析も共同で行い,フィリピン島弧が海洋地殻を基盤に形成されたことが明らかになった。この成果も万国地質学会で共同研究として鈴木が発表する予定で,アブストラクトは受理されている。
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