2003 Fiscal Year Annual Research Report
環境にやさしく、コストパフォーマンスの高い"グリーン"コンポジットの開発と性質改善
Project/Area Number |
03F00217
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
合田 公一 山口大学, 工学部, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MEYYARAPPALLIL Sreekala Sadasivan 山口大学, 工学部, 外国人特別研究員
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Keywords | グリーンコンポジット / 天然繊維 / ラミー麻 / ガラス繊維 / 生分解性樹脂 / マーセル化 / 破断ひずみ / 引張特性 |
Research Abstract |
環境・資源・エネルギーを保護する研究・技術開発の社会的要請の流れを受けて,環境に負荷を与えない天然繊維を用いた複合材料の開発が近年注目を浴びている。天然繊維は,これまで主に使用されてきたガラス繊維強化プラスチック(Glass Fiber Reinforced Plastics)を代替する可能性を秘めた材料である・すなわち,ガラス繊維の強度には及ばないものの,化学処理によってその特性を大きく改善でき,構造材料として必要とされる高靭性発現の可能性を有している。そこで当該年度では,代表的な高強度天然繊維であるラミー麻の変形・破壊挙動に及ぼすマーセル化処理の影響を明らかにした。 供試材として,代表的な高強度天然繊維であるラミー麻繊維を用いた。まず,荷重負荷化学処理装置を用いて,単繊維に緊張下でアルカリ処理を施した(以下,この処理をマーセル化処理と記す)。そして,処理された単繊維の引張試験を,微小荷重検出用引張試験機を用いて実施した。試験条件はJIS R 7601(炭素繊維試験方法)に準じ,同時にレーザー変位計によりひずみ測定を実施した。マーセル化による力学的挙動の変化をさらに詳しく検討するために,同様な試験片を用いて,ラミー麻繊維の繰返し引張試験を実施した。得られた結論を要約すると次のとおりである。 (1)静的引張試験の結果,マーセル化処理はラミー麻繊維の破断ひずみを大きく向上させる。 (2)マーセル化処理は,ラミー麻繊維へ強度信頼性の向上を付与することができる。 (3)繰返し引張試験の結果,未処理繊維は負荷中ほぼ線形的な応力-ひずみ関係を示し,除荷により現れる塑性ひずみは僅かであった。 (4)マーセル化処理されたラミー麻繊維は負荷中,非線形的な応力-ひずみ関係を示し,明らかな塑性ひずみが認められた。また,除荷過程では低応力域で粘性挙動を示す。 (5)本研究により,マーセル化繊維束を強化材とする複合材料において,大幅な靭性改善の効果が期待される。
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