2003 Fiscal Year Annual Research Report
乾燥地における低水質の水が土の分散性と構造に及ぼす影響
Project/Area Number |
03F00251
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
軽部 重太郎 茨城大学, 農学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
AHMAD Muhammad Munir 茨城大学, 農学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 乾燥地・半乾燥地 / 塩分濃度 / 臨界凝集濃度 / pH / モンモリロナイト / カオリナイト |
Research Abstract |
乾燥地・半乾燥地に存在する粘土鉱物としてモンモリロナイトとカオリナイトを選び、また、現場で起こりうる電解質の種類としてNaClとCaCl_2を用い、様々なpHの下でのそれらの臨界凝集濃度(コロイドが凝集する最小の電解質濃度;CCC)を測定した。一般に、粘土は、臨界凝集濃度が高いほど分散し易く、土壌表面にクラスト(不透水性の皮頃)を作り易く、したがって土壌浸食を引き起こすなど、深刻な土壌悪化の問題を引き起こす可能性が高くなる。 測定の結果、乾燥地に多く見られるようなアルカリ性の土では、カオリナイトの臨界凝集濃度の方がモンモリロナイトのそれよりも何倍も高いこと、つまりカオリナイトの方が分散し易いことが分かった。また、臨界凝集濃度に及ぼす一価カチオンと二価カチオンの影響は、シュルツ・ハーディの法則によると、スターン電位が高い場合には1:64の比になることが知られているが、カオリナイトの方がモンモリロナイトよりもこれに近いことが分かった。これは、カオリナイトの表面電位がモンモリロナイトのそれよりも高いことの現れと考えられる。 さらに、アルカリ性の条件でこれらの粘土鉱物を凝集させるには、条件によっては、ある程度高い塩分濃度の水を利用するという対策も考えられた。それは、乾燥地・半乾燥地において、水質の劣る地下水の利用や、排水の反復利用の可能性を示唆するものである。 以上の内容を3月末に講演要旨にまとめ、9月に開かれる農業土木学会大会講演会に向けて講演申し込みをした。研究を開始してから期間が短いので、雑誌論文等の成果はまだである。
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