2003 Fiscal Year Annual Research Report
二次元金属・ナノロッドアレイ法による超高感度表面増強ラマン散乱法の開発と酵素イムノアッセイへの応用
Project/Area Number |
03F00281
|
Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
尾崎 幸洋 関西学院大学, 理工学部, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHANG Jian Ming 関西学院大学, 理工学部, 外国人特別研究員
|
Keywords | 表面増強ラマン散乱 / ラマン分光法 / 酵素イムノアッセイ / 高感度分析 / 表面プラズモン |
Research Abstract |
本年度は二次元金属、ナノロッドアレイ法による超高感度表面増強ラマン散乱法(SERS)の開発の準備として単一銀ナノ粒子系のSERSについて研究した。SERSは金属表面における数ナノメートル領域の微細構造で生じると考えられている。本研究ではLee-Meiseiクエン酸還元方法で合成され、単一分子SERS測定に実績のある銀ナノ粒子を用いた。銀ナノ粒子は表面プラズモン共鳴(SPR)が最も効率よく起き、SERS基質として適している。銀ナノ粒子分散液の吸収スペクトルから平均粒子径、濃度はそれぞれ約53nm、1.7×10^<-12>Mと見積もられた。使用する分子は励起光波長が共鳴波長域にあるローダミン6G(R6G)を濃度3.4×10^<-8>Mで用いた。銀ナノ分子分散液とR6G水溶液をNaCl濃度10mM下で混合することでR6G分子を銀ナノ粒子に吸着させ、SERS活性な銀ナノ粒子分散液を作成した。この銀ナノ粒子分散液をスピンコート法によりガラス基板上に分散し、単一分子測定を行った。次に波長可変でラマン励起を分子の電子共鳴あるいは非共鳴領或でSERS分光が容易に可能となり、任意の分子についてSERS発現の励起レーザー波長、SPRのバンドピークエネルギー依存性が解明できる。次に単一銀ナノ粒子のSPR, SERS測定を行うことでのみ選択、制御が可能となることを具体的に3点述べる。(1)SERS発現に適した励起光の偏光をSPRの光学異方性に合わせて選択、制御できる。(2)SERS発現に適した励起波長をSPRのピーク波長と吸着分子の電子共鳴波長を考慮して設定できる。(3)金属ナノ粒子の表面電荷を制御し、SERS発現に適した分子の吸着条件を金属ナノ粒子ごとに達成できる。本研究から次のような結論が得られた。単一銀ナノ凝集体を用いた実験により得られたSPRとSERSとの関係から、銀ナノ凝集体に吸着した分子が高強度電場と電磁相互作用したときSERSを発現することが強く示唆された。これらの結果は励起光の波長、偏光、SPRバンドを制御することでSERSを用いた分子検出を最適化できることを示している。
|