2003 Fiscal Year Annual Research Report
ラジカル反応を鍵段階とする抗マラリア活性を有する天然物の合成
Project/Area Number |
03F00294
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大嶌 幸一郎 京都大学, 工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
AFFO WALTER 京都大学, 工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | コバルト / ヘック反応 / アリル化反応 / ブロモアセタール / タドール誘導体 / 酒石酸エステル / ラジカル反応 |
Research Abstract |
現在アジア地域において深刻な問題となっているマラリアに対して有効であることが知られているアルテミジニンおよびその類縁体をラジカル反応を用いて効率的に合成することを目標とし検討を重ねてきた。その結果,2-ブロモシクロヘキサノンのラセミ体ジヒドロベンゾインアセタールを基質としてコバルト触媒存在下塩化トリメチルシリルメチルマグネシウムを用いたスチレンに対するヘック反応を検討したところ目的のヘック付加体が高収率で得られることを見いだした。この際スチレン骨格の結合した炭素上におけるジアステレオ選択性の誘起は認められなかった。すなわち生成物は完全に1対1のジアステレオマーの混合物として得られた。そこでさらにアセタール部位をかさ高くするためタドール誘導体の合成に着手した。すなわち、まず光学活性酒石酸ジエチルで2-ブロモシクロヘキサノンをアセタール化する。その後過剰量のフェニルマグネシウム反応剤を加えることによりテトラフェニルジオールとした。ジオール部位をトリアルキルシリル保護あるいはジメチルシリルアセタール保護することによりヘック反応に利用できる前駆体臭化物を合成した。現在これを用いたヘック反応について鋭意検討中である。今後は同様の基質を用いたアリルグリニャール反応剤によるアリル化反応も検討し、光学活性化合物の合成を検討する。さらにガリウムヒドリドやジルコニウムヒドリド反応剤を用いて同ブロモアセタールのラジカル反応を検討し、天然物合成の完成を目指す。
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