2003 Fiscal Year Annual Research Report
高機能ポリオレフィンの精密合成を可能とする高性能遷移金属錯体触媒の設計と合成
Project/Area Number |
03F00295
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
野村 琴広 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WANG Wei 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 遷移金属錯体触媒 / ポストメタロセン / オレフィン重合 / ポリエチレン / チタン錯体 / 触媒設計 / バナジウム錯体 / 均一系触媒 |
Research Abstract |
本課題は高機能オレフィン系ポリマーの精密合成とその特性解析に関する。特に今年度は既に創製したポストメタロセン型のバナジウム錯体触媒の構造や電子・立体的性質の特徴を生かして、従来技術では不可能な新しい高機能ポリマーを創製することを主目的としている。また、新規高性能錯体触媒の候補として、(今まで触媒性能に関する報告例のない)キレート4座配位子を有するチタン錯体に注目し、オレフィン重合触媒としての可能性を追求することも目的としている。平成15年度の主な成果は以下のとおりである。 1)キレート4座配位子を有するチタン錯体、TiX[(O-2,4-R_2C_6H_2-6-CH_2)_3N][R=Me,^tBu;X=O^iPr,O-2,6-^iPr_2C_6H_3]、が、メチルアルミノキサン(MAO)助触媒の存在下、エチレン重合に対し、特に高温(100℃以上)で高い触媒活性を示した。触媒活性は重合温度を高めると顕著に向上し、ごく少量の有機アルミニウム(AlMe_3)の添加でさらに向上した。実験事実を基に、「キレート配位子のチタン-酸素(σ)結合の1つが有機アルミニウムとの反応で解離することにより、触媒活性種が(可逆的に)生成している」ことが示唆された。従来では困難であった高温で安定に高活性を発現することから、緻密な配位子設計を行なえば、より高性能触媒を創成できる可能性が強く示唆された。(Wiley社のMacromolecular Rapid Communication誌にて、Cover articleとして紹介された。) 2)ポストメタロセン型のバナジウム錯体、特にアリールイミド及びアリロキシ配位子を有するバナジウム錯体触媒は、スチレンの重合に触媒活性を示さず、エチレンとの共重合では直鎖状ポリエチレンを与えることが明らかになった。この研究を通じて得られた知見は高性能分子触媒の設計にとって、極めて有用と考えられる。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Wang Wei, 野村琴広他: "Ethylene Polymerization Catalyzed by Titanium(IV) Complexes with Triaryloxoamine Ligand of Type, TiX[(OArCH_2)_3N]"Macromolecular Rapid Communications (selected as a cover article, and introduced in the cover picture gallery). 25. 504-507 (2004)