2003 Fiscal Year Annual Research Report
特異的光線力学療法のためのフタロシアニン型新規増感剤内包高分子ミセルの創製
Project/Area Number |
03F00309
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
片岡 一則 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LI Yuan 東京大学, 大学院・工学系研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | Polyion complex micelle / dendrimer photosensitizer / generation effect / photodynamic therapy |
Research Abstract |
本研究においては、光線力学療法に用いられるポルフィリン系光増感剤を取り上げ、治療効果を妨げる凝集を防ぐための分子設計としてデンドリマー化を行うこと、並びにポルフィリンデンドリマーを高分子ミセル中に内包することにより、光増感剤の患部への送達・集積が可能で、集積時にもクエンチングによる治療効果の低下がみられない新規光増感剤の創製を目的としている。以下に、本年度に行った予備的実験結果について具体的に報告する。 亜鉛を中心金属とするポルフィリン骨格より、世代が異なり末端にアニオン性の官能基を有するデンドリマーを合成し、ポリエチレングリコールとカチオン性であるポリリシンからなるブロック共重合体とを混和することにより、光増感剤を内包する高分子ミセルを調製した。光増感剤としてのデンドリマーポルフィリンを内包する高分子ミセルには、1)一重項発生量子収率が高く、2)皮膚透過性に適合した分光特性があり、3)水溶液中での分散特性に優れ、4)光照射時の毒性に比べて、光非照射時の毒性(暗毒性)が極めて低く、5)治療対象となる組織へ集積し易いなどの特性があることを解明した。 これらの特性を全て併せ持つような光増感剤は実際の治療への適用可能性が極めて高いため、現在はデンドリマーの世代の違いの効果を精査すると共に、培養細胞実験による薬剤としての機能評価へと研究を進展しつつある。培養細胞実験による評価結果次第では、研究計画を前倒しして、平成16年度中の実験用動物を用いた評価系への進展も視野に入れている。
|