2003 Fiscal Year Annual Research Report
生理活性物質と天敵を利用した環境にやさしいナラ枯れの総合管理技術の開発
Project/Area Number |
03F00329
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
鎌田 直人 金沢大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TURCANI Marek 金沢大学, 大学院・自然科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ナラ枯れ / カシノナガキクイムシ / Raffaelea quercivora / ガロ酸 / 樹皮塗布 / 忌避反応 / 穿孔 |
Research Abstract |
H14〜15の萌芽研究によって、前年の穿孔によって形成された壊死変色部をカシナガ成虫が避けるのは、壊死変色部に生成されるガロ酸・エラグ酸をカシナガ成虫を避けることが原因であることが明らかにされた。エラグ酸は壊死変色部の濃度の約半分で、ガロ酸は壊死変色部の濃度の約50倍で、カシナガの穿孔を完全に阻害することができることが明らかにされている。しかし、エラグ酸は水に溶けにくいという問題がある。 本年度の研究では、40cmに玉伐った直径20cmのコナラ丸太を供試した。金網のケージに丸太を2本ずつ入れた。うち1本にはガロ酸の水溶液を樹皮表面に塗布した。2003年夏にカシナガの穿孔を受けて枯死したミズナラを、2003年12月に伐倒して実験室に持ち帰った。丸太を金網で包み、25℃の恒温室に放置すると、約30日後からカシナガ成虫が羽化を始める。毎日、朝に羽化した成虫を採集して、雄成虫のみを選び出し、羽化当日に接種に供試した。 実験の結果、ガロ酸塗布区と対照区との間に、穿人数に有意差は認められなかった。この原因として2つの可能性が考えられた。ひとつは、樹皮に塗布した場合、タンニン酸が結晶として析出してしまうことが、穿孔を阻害することのできない原因となっている可能性である。液状であることが必要である可能性があるので、現在も溶剤等を検討している。もう一つの可能性は、樹皮にはもともとタンニン類が多く含まれるため、カシナガが穿孔する際には、樹皮に高濃度のタンニン類が含まれていても、穿孔してしまう可能性である。
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