2003 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ストレス下における細胞内ゲノム環境の可塑性と破綻
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03F00342
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
豊國 伸哉 京都大学, 医学研究科, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
THAN Tin Aung 京都大学, 医学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 酸化ストレス / DNA傷害 / アクロレイン / 免疫沈降 / ゲノム |
Research Abstract |
哺乳類を含む高等動物は酸素をエネルギーに変換して生命活動を行っている。その変換効率は100%ではないため、ミトコンドリアなどで活性酸素が常時発生し、ゲノムに傷害を与えていると考えられる。これまで代表的なDNA修飾塩基である8-oxoguanineに関して、その量の多寡ならびに修復酵素の研究が行われてきた。本研究においては、脂質過酸化物のひとつであるアクロレインと2'-deoxyadenosineの付加体について、ゲノムのどのような部位でできるのかを解析するのを目指して、今年度の6ヶ月に間に方法の確立を図った。これまで、私たちはアクロレインと2'-deoxyadenosineの付加体に対するマウスモノクローナル抗体を共同で開発し、酸化ストレスによる発癌モデルである鉄ニトリロ三酢酸誘発ラット腎発癌モデルに置いて、この付加体が増加していることを確認した。この結果をもとに、ゲノムDNAの免疫沈降の実用化を検討した。ラット腎臓より、ゲノムDNAはよう化ナトリウム法で抽出し、制限酵素処理により平均的1000bpの断片とした。添加DNA量、抗体量、反応時間、洗浄バッファー組成、プロテインAセファロースあるいは2次抗体付加磁気ビーズ量などに関して詳細な検討を行い、最適な条件を見出した。この条件で、免疫沈降を行うと鉄ニトリロ三酢酸投与6時間の腎臓のゲノムDNAにおいて、免疫沈降されるDNA量が有意義に高いことが判明した。
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