2003 Fiscal Year Annual Research Report
循環器系病変における歯周病原性細菌が及ぼす機構についての解析
Project/Area Number |
03F00355
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
石川 烈 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黄 怡 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 歯周病原性細菌 / 循環器系疾患 / PCR / 遺伝子 / 動脈瘤 / 動脈硬化 |
Research Abstract |
歯周病原性細菌遺伝子の循環器系疾患部位からの検出 目的: 近年、歯周病の循環器系疾患への関与が注目されている。本研究の目的は、循環器系疾患罹患部の病変組織から、歯周病原性細菌の遺伝子が検出されるか調べることであった。 材料および方法: 大動脈瘤23名、動脈硬化9名計32名の循環器系疾患患者(男性:25名、平均年齢:69.2歳、女性:7名、平均年齢:64.6歳)から、外科手術時に循環器系疾患罹患部位の病的組織を、インフォームドコンセントを得て外科医が採取したものを検査した。得られたサンプルから、High Pure PCR Template Preparation KitR(Roche)を用いて細菌DNAを抽出し、A.actinomycetemcomitans、P.gingivalis、B.forsythus、C.rectus、P.intermedia、T.denticolaの16S rRNA遺伝子の特異的な部分を標的としたPolymerase chain reaction(PCR)法を用いて歯周病原性細菌のDNAの検出を行った。 結果: 84.4%(27/32)の循環器系疾患部位よりPCR法で歯周病原性細菌が検出された。疾患別では、大動脈瘤が82.6%(19/23)、動脈硬化が88.9%(8/9)であった。また、循環器系疾患部位から検出された各歯周病原性細菌の割合は、P.gingivalis:75.0%(24/32)、T.denticola:62.5%(20/32)、P.intermedia:34.4%(11/32)、C.rectus:12.5%(4/32)であった。 考察: 今回調べた動脈瘤、動脈硬化部位より高い割合で歯周病原性細菌遺伝子が検出された。特にP.gingivalisはPCR法によって75.0%も血管病変サンプルより検出された。細菌性酵素であるP.gingivalisのgingipainなどは赤血球の凝集を促し血栓の形成を促進する可能性が知られ、これらを含めた菌体成分は、アテローム性動脈硬化症の病因や大動脈瘤の形成過程に関わると考察された。 結論: 歯周病原性細菌が大動脈系疾患(大動脈瘤、動脈硬化)の病変部から高度に検出され、循環器系疾患への歯周病変由来の細菌が強く関与することが示唆された。
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