2003 Fiscal Year Annual Research Report
マラリア原虫が生産するヒスチジンリッチプロテイン2による原虫の宿主免疫システムからの回避機構の解析
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03F00361
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
亀井 加恵子 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HUY Nguyen Tien 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 外国人特別研究員
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Keywords | マラリア / ヒスチジンリッチプロテイン / 線溶系 |
Research Abstract |
マラリア原虫Plasmodium falciparuimは感染赤血球内でヘモグロビンを分解し、栄養源とする。その際に生成する遊離のヘムが毒性を持つために原虫はヘムを無毒化する機構を有している。その一つが、原虫が生産するヒスチジンンリッチプロテイン2(PfHRP2)によって食胞内で遊離のヘムを重合化し、無毒化する機構である。PfHRP2は原虫サイトゾルや感染赤血球にも存在しており、遊離のヘムと結合することにより、ヘムと膜の結合による膜構造の破壊を防いでいることをすでに報告した。しかし、PfHRP2は感染赤血球から血液中にも分泌されており、そこでの機能は明らかではない。本研究はPfHRP2の血液中での機能を解明するごとを目的としている。 これまでに、PfHRP2をリガンドとしたアフィニティークロマトグラフィーにより、PfHRP2は血中の線溶系プラスミノーゲン、ヒスチジンリッチ糖タンパク質、抗体IgMと特異的に結合することを明らかにした。補体系および細胞増殖にPfHRP2がどのよう影響を与えるかを検討した結果、いずれもPfHRP2添加による影響は見られなかった。次に、PfHRP2がプラスミノーゲンと結合する事から、血液線溶系に対するPfHRP2の影響を検討した。プラスミノーゲン、トロンビン、フィブリノーゲン、t-PAを加えた系にPfHRP2を添加した結果,フィブリンの溶解が阻害された。この系では、トロンビンによるフィブリン形成と同時に、t-PAによるプラスミノーゲンの活性化によって生成したプラスミンがフィブリンを溶解する。そこで、血液線溶系のいずれの段階がPfHRP2によって阻害されたのかをより詳細に検討した結果、PfHRP2はプラスミンの酵素活性を抑制することを明らかにできた.本研究結果は,血中に放出されたPfHPR2がプラスミンの酵素活性を阻害することにより線溶系全体を抑制することを示しており、マラリアの症状の一つであるプロコアグラント状態がPfHRP2によってもたらされている可能性を示唆している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] H.T.Huy, R.Takano, S.Hara, K.Kamei: "Enhancement of heme-induced membrane damage by the anti-malarial clotrimazole : the role of colloid-osmotic forces"Biol.Pharm.Bull.. 27・3. 361-365 (2004)
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[Publications] D.T.X.Trang., N.T.Huy, T.Kariu, K.Tajima, K.Kamei: "One-step concentration of malarial parasite-infected red blood cells and removal of contaminating white blood cells"Malarial J.. (in press). (2004)