2003 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内ATPレベルを指標とした大腸菌連続培養の細胞集団挙動解析
Project/Area Number |
03F00656
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
四方 哲也 大阪大学, 大学院・情報科学研究科, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黄 海瑛 大阪大学, 大学院・情報科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 大腸菌 / グルタミン酸 / 代謝経路 / 融合遺伝子 / 連続培養 |
Research Abstract |
本研究室では、今までグルタミン酸からグルタミンへの反応を触媒するグルタミン合成酵素(glnA)に注目し、GFPと融合させた株を連続培養することによって作製した一定環境条件下においても、菌体間で、遺伝子の発現量が大きく異なるということを明らかにしている。グルタミン酸が関与する代謝経路で、対数増殖期に異なる発現量を示す遺伝子---ilvE(高程度), putA(中程度)glnA(低程度)のGFP融合株を用い、グルタミン酸の濃度変化などの環境変動に対する、細胞集団の挙動を観察、解析することを目的として、研究しようと考えている。 今回、代謝ネットワークの視覚化をグルタミンシンターゼのみならず他の酵素においても行い、環境変化に対して代謝ネットワークの摂動がどのように伝播するか、摂動の大きさがもとの状態の遺伝子発現量の大きさや分布のばらつきの大きさとどのような関係があるのかを明らかにしようと発想され、そのための大腸菌株の構築を行ってきた。 大腸菌DH1株を用い、指数増殖期において遺伝子発現量に差のあるグルタミン、イソロイシン、プロリン生合成経路の遺伝子(glnA、ilvE、putA)を選択し、宿主のゲノム中の遺伝子を破壊すると、欠損株を作った。共に、適当なプロモーターtetを選んで、ilvE、putA、glnA各遺伝子とGFPとの融合遺伝子が発現するようなプラスミドを構築した。構築したプラスミドを宿主に導入する実験を行い、これらの生合成経路の活性化状態を視覚化することのできる大腸菌(DH1ΔilvE/pIGIEtet-ak-r'、DH1ΔglnA/pIGGStet-ak-r'、DH1ΔpntA/pIGPAtet-ak-r')を創生した。 最後に、環境状態を均一化できる連続培養系を用い、フローサイトメータで、培養条件の変化に対する、細胞集団の挙動を観察する。
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