2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03F00659
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
世良 正文 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 武星 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 高濃度近藤効果 / 反強磁性磁気秩序 / 熱起電力 / CeB_6 / CeCu_6 / 不純物近藤効果 |
Research Abstract |
高濃度近藤効果を示すCe化合物と非磁性のLa化合物との混晶系での近藤効果の研究は過去非常に多くの研究がなされてきたが,Ce化合物で高濃度近藤物質と同結晶構造をもつ磁気秩序を示す希土類化合物との混晶系における近藤効果の研究は従来なく,系統的な研究としては,本研究がはじめてであると思われる。本年度は典型的な高濃度近藤化合物であるCeB_6とCeCu_6と局在スピンによる磁気秩序を示すNdB_6とNdCu_6との混晶系Ce_xNd_<1-x>B_6とCexNd_<1-x>Cu_6を作成し,熱起電力の測定を行った。高温では,近藤効果特有の振る舞いが観測され,Ceのまわりに磁性イオンがあっても従来から言われているような不純物近藤状態が実現していることが示された。Ce_xNd_<1-x>B6(0.3<x<0.8)では高温側にNdが引き金になって起こる反強磁性磁気秩序,低温側にCeが引き金になって起こる反強磁性磁気秩序が存在するが,高温側の磁気秩序には近藤効果はほとんど影響を受けず近藤効果による巨大熱起電力が観測されるが,低温側の磁気秩序では影響を受け大きく抑制されることが明らかになった。 低濃度側の熱起電力のCe濃度依存性はCexNd_<1-x>B_6ではCe濃度に比例するが,Ce_xNd_<1-x>Cu_6では低濃度ですでに大きく増大する,という結果が得られた。これは,CeB_6,CeCu_6での近藤温度TKがそれぞれ1K,5Kであることと関係しているとして説明される。TKが低ければCe-Ce間相互作用は小さいが,TKが高くなると大きくなり,より低いCe濃度からCe-Ce間相互作用が効いてくる,ことを意味していると考えられる。 これらの成果は金武星により九州大学で開催された日本物理学会で発表された。
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