2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03F00708
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
城戸 淳二 山形大学, 工学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CANZLER Tobias 山形大学, 工学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 有機EL / ユーロピウム錯体 / 積層構造 / 赤色発光 / 量子効率 / 三重項励起子 / アリールアミン / トリアゾール |
Research Abstract |
本研究では、輝線スペクトルを有し励起多重項状態からの発光が得られる希土類錯体を発光体として有機EL素子を作製し、高効率化を試みた。用いた錯体はユーロピウムイオンに配位子にジケトン誘導体とフェナントロリン誘導体を配位させた混合配位子錯体であり、色純度の赤色発光を示す。高効率化を達成するために、素子構造にホール輸送性材料であるアリールアミン誘導体(TPD)、電子輸送性材料である1,2,4トリアゾール誘導体(TAZ)と積層構造にした。陽極ITO/TPD/Eu錯体/TAZ/LiF/Al陰極のサンドイッチ構造を採用した場合、量子効率は最大で7.5%とこれまで報告されているEu錯体を使用した素子では最高の効率を示した。これは、発光層であるEu錯体層をホール輸送層と電子輸送層で挟むことにより、電荷キャリアが効率良く発光層中に閉じこめられることにより、キャリア再結合効率が高まったためと考えられる。しかし、大電流密度領域では効率は大きく低下した。これは、大電流領域では生成した三重項励起子どおしが反応する三重項ー三重項アニヒレーションが起こるためと考えられる。一方、Eu錯体発光層をTPDと1:2で混合した場合、ITO/TPD/Eu錯体:TPD/TAZ/LiF/Al、最大効率は5.5%と低いものの、大電流領域での効率低下が少なかった。これは、TPDと混合することにより、励起子密度が減少し、三重項ー三重項アニヒレーションが起こりにくくなったためと考えられる。また、発光スペクトルにおいて、5D1レベルからのピークが大電流密度領域で相対的に大きくなってることから、三重項ー三重項アニヒレーションが起こっていることが確認できた。 以上のように、本研究では希土類錯体であるEu錯体を用いた素子において最高の効率を達成したばかりでなく、大電流領域での効率低下に関してもその機構を明らかにした。
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