2003 Fiscal Year Annual Research Report
ダニ類のミトコンドリア全ゲノム解析による系統解析と媒介病原体の適応進化解明
Project/Area Number |
03F00728
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
福長 将仁 福山大学, 薬学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SHAO Renfu Fukuyama University Faculty of Pharmacy and Pharmaceutical Sciences, 外国人特別研究員
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Keywords | 節足動物 / ミトコンドリア / 系統解析 / ベクター / 遺伝子組換え / 適応進化 |
Research Abstract |
ダニ、シラミなどの吸血性の節足動物には、ヒトに対する病原性細菌、リケッチア、ウイルス、原虫などを媒介するものが多く、医学的に重要である。またこれらの動物は様々な微生物と共生関係をもつものも少なくなく、これら節足動物の系統解析は基礎生物学的にも重要な分野である。本研究では病原微生物とその媒介節足動物(ベクター)に関する、遺伝子やゲノムを対象とした系統解析をおこなう。特にダニとシラミなど病原微生物媒介ベクターを含む節足動物の全ミトコンドリアゲノム配列を解析、塩基配列比較や遺伝子構成比較をおこなって、これらの生物の進化と系統分類を行う。この研究は病原微生物媒介ベクターの分布や生態を理解するための一助となるとともに、ベクターコントロールによる病原微生物感染の防疫の面からも重要である。 これまでに回帰熱ボレリア媒介ダニであるOrnithododros porcinusの全ミトコンドリア解析をおこなった。現在はツツガムシ病リケッチアを媒介するダニ(Leptotrombidium pallidum)のミトコンドリア全塩基配列を解析、遺伝子の同定作業を行っている。この生物は特異なtRNA遺伝子構造を持つこと、遺伝子の転移や複製が起きていること、また近縁の生物のデータが全く存在しないことなどからゲノムの注釈を加えることが難しい状態である。また比較的短い世代に遺伝子の再編成が起こっている可能性が示唆されているので、遺伝子構成変化と遺伝的組み換えを動的な面から検証するための実験を行っている。
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