2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03F03014
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
宮本 勝浩 大阪府立大学, 経済学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HAN Chi (韓 池) 大阪府立大学, 経済学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 金融自由化 / 金融国際化 / 輸出 / 経済成長 / TFP / 資本ストック / VAR / FDI |
Research Abstract |
この研究は次の五つの部分から構成されている。 第1部分では、日本、韓国およびASEAN諸国の金融自由化と国際化はどのような経済条件と背景の下でどのように進められたのか、どのような教訓が得られたのかについて分析した。 第2部分では、中国の金融自由化はなぜ必要であったのか、金融システムはどのように改革されてきているのか、さらにWTOへの加盟の影響と今後の課題、そして日本、韓国およびASEAN諸国の金融自由化の経験と教訓からどのような対策をとるべきかについて分析した。 第3部分では、日本とロシアのケースと比較して、中国の輸出成長力の経済成長への貢献度を分析し、さらに積極的に導入されたFDIの役割、輸出構造の変化、そして比較優位性の変化から、経済成長に対する貢献度の相違について分析した。 第4部分では、中国の金融自由化が中国の経済成長に貢献するかどうか、この貢献がどのように達成されていたのかを分析した。分析の結果、中国の金融自由化は中国の経済成長に貢献し、しかもその貢献はTFP成長のルートだけではなく、資本ストック成長のルートをも通じて達成されたという結論を得ることができた。 第5部分では、中国の金融の自由化と国際化に伴って、中国の経済成長が日本の経済にどのような影響を与えるかについて構造的なVARモデルを使って分析した。総供給ショックと総需要ショックおよび貨幣ショックという3種類のショックとして捉えた中国の経済変動が、日中間の実質為替レートおよび貿易収支に与える影響は恒久的であるという結論が得られた。また、予測誤差の分散分解の結果から見ると、実質為替レートにとっては、総需要ショックからの影響がショックを受けた最初の段階においては大きいが、時間が経つにつれて総供給ショックからの影響が次第に大きくなり、貿易収支にとっては名目ショックからの影響は、ショックを受けた後の経過時間に関係がなく長期にわたって高い水準を保つという結論も得られた。 以上のような研究実績の一部の内容は、次のページに示されているいくつかの雑誌に発表され、もう一部の内容はアメリカの雑誌へ投稿中あるいは投稿準備中である。また、その一部の内容も日本経済学大会、ロシアの国際会議、中国の大学で行われていたセミナーで発表済みである。
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