Research Abstract |
大陸縁辺部における堆積古環境の解明を目的として,ガーナの大西洋岸沿いに分布するオルドビス紀から早期白亜紀の堆積岩について岩石学的・地球化学的検討を行った。特に,砕屑物質を供給した後背地の地質環境,堆積盆の古環境,堆積場形成のテクトニクスを明らかにすることを試みた。この目的のため,セコンディア層群とトーゴ累層について野外調査を行うとともに,採取した試料について以下の手法により分析とデータ解析を実施した。(1)採集した試料の検鏡を行い,さらに詳細な分析の対象とするため中粒砂岩13試料と珪岩12試料の計25試料を選んだ。これらの試料についてモード分析と砕屑粒子の形状に関する統計分析を行った。(2)12個の中粒砂岩試料について重液による重鉱物分離を行い,含有する砕屑性重鉱物の解析を行った。(3)25個の試料について蛍光X線分析法,ICP質量分析法により主要および微量成分元素全岩化学分析を行った。 この結果,次のような成果が得られた。研究対象とした中粒砂岩は中程度あるいは良く淘汰された砕屑粒から構成される。単結晶石英,多結晶石英,カリ長石,斜長石,岩片が主要な砕屑粒子であるが,石英の量が最も多い。本研究で取り扱った砂岩は,石英アレナイト(トーゴ累層)と長石アレナイト(セコンディア層群)に分類される。また,これらの砂岩に含まれる重鉱物として,雲母,緑泥石,ルチル,トパーズ,燐灰石,磁鉄鉱,イルメナイト,ジルコンが認められる。これらの重鉱物組み合わせは,後背地として花歯岩類あるいは正片麻岩類の地域を示唆する。主成分,微量成分元素組成は,原生代砂岩の平均組成と類似した特徴を示すが,これらに比較してMg, Fe, Cr, Ni, Co, Vなどの成分に少し乏しい。 現在までに収集したこれらのデータを総合すると,トーゴ累層とセコンディア層群堆積岩類の岩石学的・地球化学的特徴は,非活動的な大陸縁辺部に形成された堆積盆で生成したとするモデルと調和的である。
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