2004 Fiscal Year Annual Research Report
安定なケイ素、ゲルマニウム、スズ二価化合物を基盤とする異常分子の合成
Project/Area Number |
03F03068
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉良 満夫 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SELVARAJAN Nagendran 東北大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 安定シリレン / ハロシラン / ビシクロテトラシラン / ペルシラメチレンシクロプロパン / 環反転 / 金属還元 |
Research Abstract |
本研究計画では、最近受入研究者らが安定化合物として合成することに成功したシリレンなど高周期14族元素二価化合物を機軸化合物として、これまで未知のさまざまな安定高周期14族元素不飽和化合物に誘導し、その構造と反応性を明らかにしようとしている。この研究での合成目標化合物は、ケイ素-酸素二重結合化合物、シラアレン誘導体、分極したジシレンなど、特異な電子状態、構造を持つ一群の化合物であり、これまでまったく知られていない構造様式の分子も含まれている。昨年度までに安定シリレンといくつかのポリハロアルカンとの付加反応により、ケイ素上および炭素上にハロゲンを有する化合物の合成できることを確認していた。本年度は、安定シリレンのフェニルトリクロロシランのケイ素-塩素結合への挿入によって得られる1,1,2-トリクロロジシランのカリウムグラファイトを用いる還元によって、目的とするケイ素-ケイ素二重結合化合物を得ることはできなかったが、興味深いビシクロ[1.1.0]ブタン化合物を得、X線構造解析によって、その分子構造を決定した。このものは橋頭位ケイ素上にフェニル基をもち、このため溶液中で、これまで知られているビシクロ[1.1.0]テトラシランに比べて、容易に環の反転を起こす。またこのものの熱反応によって、低収率ながらエキソケイ素-ケイ素二重結合をもつ三員環状化合物、すなわち、ペルシラメチレンシクロプロパン誘導体の得られることが明らかになった。シリレンのハロシランへの挿入-引き続く還元法はケイ素-ケイ素不飽和化合物合成の一般的方法を提供するものである。
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