2004 Fiscal Year Annual Research Report
アレンールテニウム核を含む大環状超分子錯体の合成と触媒機能
Project/Area Number |
03F03073
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤田 誠 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
THERRIEN Bruno 東京大学, 大学院・工学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ルテニウム錯体 / 自己集合 / 包接錯体 / トリペプチド |
Research Abstract |
本研究では、有機多座配位子と遷移金属イオンの自己集合により組み上がる巨大なかご状錯体の機能化を目指し、アレーン型ルテニウム錯体およびアレーン型イリジウム錯体の取り込みとその光反応を検討した。かご状錯体を溶解した水溶液に、アレーン型ルテニウム錯体を過剰量加えることで、その包接錯体を定量的に得た。その包接錯体の単結晶を作成し、低温状態での光照射を検討している。また、包接したルテニウム錯体を触媒として利用することで、新規な反応の探索も行っている。かご状錯体の内部空間を利用することで、前例のない立体および位置選択的な触媒反応が期待できる。さらに本研究では、自己集合性かご状錯体を用いたさまざまな包接体のX線構造解析に成功した。単純な有機分子だけでなく、金属錯体や生体関連分子の包接錯体の結晶構造も決定した。これにより、NMRや質量分析では得られなかった重要な性質が明らかになった。特筆すべき結果としては、かご状錯体に対して高い選択性で取り込まれる(K_a >10^6 M^<-1>)トリペプチド鎖Ac-Trp-Ala-NH_2 (Trp=トリプトファン、Ala = アラニン)包接錯体の構造解析があげられる。放射光(KEK)を用いた結晶構造解析の結果、かご状錯体内にはAc-Trp-Trp-Ala-NH_2型トリペプチドが1分子取り込まれ、ホスト-ゲスト間での特異な相互作用の解明に成功した。すなわち、π-πおよびCH-π相互作用によってペプチド鎖がかご状錯体に特異的に取り込まれていることを明らかにした。
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Research Products
(4 results)