2004 Fiscal Year Annual Research Report
キャピラリー電気泳動及びマイクロチップ電気泳動による網羅的メタボローム解析法の開発
Project/Area Number |
03F03079
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
寺部 茂 兵庫県立大学, 大学院・物質理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHEN Hong 兵庫県立大学, 大学院・物質理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | キャピラリー電気泳動 / 細胞内代謝物 / オンライン試料濃縮法 / ダイナミックpHジャンクション / 弱酸性試料 / コンピュータシミュレーション / 非水キャピラリー電気泳動 |
Research Abstract |
キャピラリー電気泳動(CE)により細胞内代謝物を分析するのには、細胞内での代謝物の量が少なく濃度も低いので、何らかの濃縮法が必須である。当研究室ではこれまで各種オンライン試料濃縮法を開発してきた。本研究では多くの代謝物がイオン性化合物であることを考慮してダイナミックpHジャンクション法の検討を行った。試料には市販の各種カルボン酸、フェノール、アミン等を用い、試料溶液および泳動液のpH、電解質の種類および濃度が濃縮に及ぼす効果を詳細に検討した。20mM酢酸アンモニウム緩衝液を用い、試料溶液のpHを3.5、泳動液のpHを9.2とした場合には、フェノールのような弱酸性試料の濃縮は起らなかったが、泳動液成分としてホウ酸、試料溶液成分にリン酸を用いた場合には効率よく濃縮が起きた。この現象をコンピュータシミュレーションにより確認した。上記ダイナミックpHジャンクション法の研究過程において新規濃縮法の開発に至った。すなわち、キャピラリーにpH10.5の80mMホウ酸塩緩衝液を満たした後、同じ緩衝液に溶解した酸性試料(ジヒドロキシ安息香酸)を長いゾーンとして注入し、そのあと、pH3.0の40mMリン酸塩緩衝液を注入し電気泳動を行うと、注入端から酸性のリン酸塩緩衝液が電気浸透流により試料ゾーンに侵入し、イオン化した試料が中和され中和界面に試料が濃縮される。このためには、試料溶液を中和するのに十分な酸性緩衝液ゾーンの長さが必要であることが判明した。本法の有用性については検討中である。代謝物の一斉分析のために質量分析計を検出器として用いる場合、非水キャピラリー電気泳動で陰イオン試料を分析するためのシステムも開発中である。この場合にはメタノールを溶媒に、酢酸アンモニウムをでんかいしつに用いると電気浸透流が逆転し、陰イオンは陽極方向に迅速に移動する。7月まで滞在予定なのでさらに研究を継続する。
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