2004 Fiscal Year Annual Research Report
イオニクス材料のナノ構造制御と中性子散乱による評価
Project/Area Number |
03F03089
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
菅野 了次 東京工業大学, 大学・院総合理工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PITTELOU Cedric Alexandre 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 電解二酸化マンガン / インターカレーション反応 / 中性子回折法 |
Research Abstract |
γ-二酸化マンガン中に含まれる二種類のプロトンの詳細な構造を調べた。 中性子反射スペクトルの測定は高エネルギー加速器研究機構のHITを用いて行った。 熱処理を行いながら、中性子全反射スペクトルを測定したところ、150℃以上で、1Å付近のピークの消失、2Å付近のピークとマンガンの周りの6配位酸素のピーク強度が減衰するなどの変化が見られた、1ÅのピークはDe Wolffのプロトンと呼ばれる酸素に直接結合したプロトン、2ÅのピークはColemanのプロトンと呼ばれるプロトンがそれぞれ脱離したことにより減少したと思われる。 以上のことを明確にするためには、二酸化マンガン中のプロトンを重水素に置き換える必要がある。二酸化マンガンを化学酸化して、プロトンを脱離させた後に、重水に浸すことにより、構造に変化のない重プロトン添加二酸化マンガンが得られた。この試料の中性子全反射スペクトル測定を行うことにより、先の1Åのピークは酸素に直接結合した水素、2Åのピークは6つの酸素に囲まれた六角形の中心に存在していることが明らかになった。 同時に新規プロトン導電体の開発を行った。Clay中にイオン性液体を挿入することにより、200-300℃の温度範囲で高い導電率を示すプロトン導電体材料の開発を試みた。用いたイオン性液体はアルキル、アミン、アミド、有機酸基などの側鎖の異なるイミダゾリウムである。現在までの所、優れた高温安定性と導電率を示す物は、350℃まで安定で200℃において4.8×10^<-6>S/cm、350℃において3.7×10^<-5>S/cmの導電率を示した試料である。この系の優れた点は、有機化合物を挿入した化合物よりも、高温での安定性が高く、導電率も高いことである。この導電性の高さは、イオン性液体がClayの層間でも擬液体状態を維持しているためと推察出来る。
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Research Products
(6 results)