2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03F03091
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
小川 昭弥 大阪府立大学, 大学院・工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 志芳 大阪府立大学, 大学院・工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ヨウ化サマリウム / ポリシラン / サマリウム-光還元系 / サマリウム複合還元系 / クロロシラン / 還元的カップリング / ゲルミルクロリド / スズクロリド |
Research Abstract |
本研究では、われわれが最近開発したサマリウム-光還元系、およびサマリウム複合還元系を利用することにより、ケイ素-塩素結合の高効率還元法を開発し、分子量分布が狭く高純度なポリシランの高効率合成法の確立を目指した。研究成果は以下のように要約できる。 (1)ヨウ化サマリウム単独系や金属サマリウム単独系では還元が全く進行しないのに対して、両試薬の複合系では還元が生起し、対応するジシランが得られた。さらにこの反応系に金属マグネシウムを添加することにより、収率が向上した。 (2)次にこの手法を同族のゲルミルクロリド、スズクロリドの還元に応用したところ、金属マグネシウム共存下ヨウ化サマリウムの触媒反応として効率良く進行することが明らかとなった。 (3)モノクロロシランの高効率還元法をジクロロシランの還元に応用し、ポリシランの合成を行った。基質としてジクロロフェニルメチルシランを用い、照射する光の種類、試薬と基質のモル比、反応条件等を詳細に検討し、ポリシランの分子量分布との相関を詳しく調べた。得られたポリシランの紫外-可視スペクトルを測定し、ケイ素-ケイ素単結合に基づく極大吸収のシフト値を検討した。以上の結果から、SmI_2-Sm-Mg還元系により合成されたポリシランは均質な分子量分布を有し、かつケイ素-ケイ素単結合に基づく極大吸収が長波長シフトしていることから純度が高いことが明らかとなった。従来法によりポリシランを合成する際には、反応系に混入した酸素や水によりSi-O-Si結合が生成し、低品質のポリシランが生成する。これに対して、本サマリウム還元系では、反応系に混入した酸素や水は速やかにサマリウム還元種が優先して反応するため、ケイ素-酸素単結合の生成は完全に抑制され、良質なポリシランの合成が可能となった。
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