2004 Fiscal Year Annual Research Report
筋肉タンパク質の構造と機能に及ぼす超高圧処理の影響
Project/Area Number |
03F03095
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
鈴木 敦士 新潟大学, 農学部, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GERELT BORJIGIN 新潟大学, 農学部, 外国人特別研究員
|
Keywords | 超高圧処理 / 筋肉タンパク質 / カルパイン / タンパク質構造 / 蛍光 / CD / NMR / BSA |
Research Abstract |
本年度は、食肉の軟化・熟成促進法の一つであるカルシウム処理した牛肉のカルパイン活性、超高圧処理によるカルパインの筋肉内局在性の変化等を熟成中のものと比較検討した。またBSAタンパク質の構造に及ぼす超高圧処理(100MPa〜600MPa)の影響について調べた。以下のような結果が得られた。 1.カルシウム処理した牛肉中のm-カルパインの活性は著しく低下し、μ-カルパイン、及びカルパスタチン(カルパイン阻害物質)の活性は認められなかった。しかし、未処理区では、m-カルパイン活性に変化がほとんど認められなかったが、μ-カルパイン及びカルパスタチン活性はカルシウム処理区ほどではないが著しく低下した。 2.高圧処理したカルパインの筋肉内局在性の変化を熟成中のものと比較検討した結果、100MPaまでの圧力では屠殺直後の筋肉と同様にカルパインがほとんどZ線付近に局在していたが、処理圧力の増加に伴いに、カルパインの局在が熟成と同様に筋原線維上に広く拡散していく様子が認められた。 3.高圧処理によるBSAの構造変化を、高圧下蛍光スペクトル、高圧解放後のCD、及びNMRスペクトルの測定により検討した結果、処理圧力の増加に伴い蛍光強度の低下と最大蛍光波長の短波長シフトを生じ、この変化は不可逆的なものであった。質量中心の変化にも同様な傾向が認められた。加圧下での光散乱強度の変化から、大きな分子量変化を伴う分子会合は起きてないことが認められた。CDスペクトルでは高圧による影響が殆ど認められなかった。NMR測定では、圧力処理により1H-NMRスペクトルや全面積強度に変化が認められなかった。2D NOESYスペクトルでは、良好なスペクトルを得ることができなかった。以上のことからBSAは超高圧を加えても安定なフォールド構造を維持し、高度な分子会合などを起こさないことが判明した。
|
Research Products
(3 results)