2004 Fiscal Year Annual Research Report
ゼブラフィッシュにおける性決定・分化の分子メカニズム
Project/Area Number |
03F03107
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
長濱 嘉孝 基礎生物学研究所, 生殖生物学研究部門, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
YI M.S 基礎生物学研究所, 生殖生物学研究部門, 外国人特別研究員
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Keywords | 性分化 / DMRT1 / ゼブラフィッシュ / セルトリ細胞 / 生殖腺 / 精巣分化カスケード / 性決定 / 魚類 |
Research Abstract |
ゼブラフィッシュは発生研究の生物モデルとして広く用いられているが、生殖腺の性分化メカニズムに関する研究は遺伝的性の不安定さが原因で殆ど進んでいない。本研究では、ゼブラフィッシュの性分化メカニズムを明らかにするとともに、現在動物における性分化研究でもっとも注目されているDMドメイン遺伝子の機能についても解析する。本年度は、DMRT1遺伝子に焦点を絞り、性分化時における発現、さらには標的遺伝子の探索を行った。 1)性分化時におけるDMRT1遺伝子の発現:孵化後のいろいろな時期(0〜60日)における個体毎のDMRT1遺伝子の発現をRT-PCRで調べたところ、0〜5日までは全ての個体でDMRT1の発現が少量認められたが、10〜15日では約50%の個体で発現が更に上昇した。その後も同様に約50%の個体でDMRT1遺伝子の発現が高く、残りの約50%の個体での発現は低かった。また、in situ hybridizationを用いた解析からDMRT1の発現は生殖腺に限定されていることが分かった。ゼブラフィッシュではこれまで生殖腺の雌雄が形態学的に区別できるのは孵化後20日以降と考えられてきたが、本研究の結果から遺伝的にはもっと早く雌雄が決定されている可能性が強く示唆された。 2)DMRT1の標的遺伝子の探索:DMRT1の標的遺伝子はまだ不明である。そこで本研究では、セルトリ細胞が発現していないゼブラフィッシュのセルトリ細胞株にDMRT1遺伝子を強制発現させることで新たに発現する遺伝子を解析した。その結果、アンドロゲン合成酵素を含む4種の遺伝子がDMRT1により特異的に発現を促進されることが分かった。これらの遺伝子はDMRT1遺伝子の下流に働く精巣分化カスケードにある遺伝子の有力候補と考えられるので現在更にゼブラフィッシュの性分化における発現パターンを解析している。
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