2004 Fiscal Year Annual Research Report
植物根と根面微生物間の情報伝達系の解析とその農業への利用に関する研究
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03F03116
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
橋床 泰之 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ISLAM Md.Tofazzal 北海道大学, 大学院・農学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | Aphanomyces cochlioides / 形態分化誘導 / 機能性根面細菌 / 共焦点レーザー顕微鏡観察 / 菌糸分岐亢進 / 有糸分裂亢進 / 根面細菌の接着 / Lysobacter sp.SB-K88 |
Research Abstract |
1)植物根面から分離した細菌類の、Aphanomyces cochlioides菌糸伸長に対する影響を調べ、これらの150菌株のうちの約5%に当たる8株が菌糸伸長を著しく抑制することを対峙培養法で示した。これらの菌糸の伸長抑制が示されているエリアの菌糸形態に着目し、ホウレンソウから分離したPseudomonas属細菌の一株が、菌糸分岐亢進を行うことを見いだした。この菌糸分岐亢進においては、有糸分裂を伴うこと、つまり細胞核分裂が著しく促進されていることを、核特異的蛍光染色によって明らかにした。 2)ジェランガム培養基上で作成した無菌苗にテンサイ苗立枯れ病拮抗細菌であるLysobacter sp.SB-K88株を接種し、3週間後の根面細菌の形状や挙動を走査電顕によって観察した。その結果、Lysobacter sp.SB-K88株はその桿菌が垂直に立ち上がった状態で根面に接着し、根面には単層の細菌叢しか形成されないこと、付着菌体群集が成熟するとそこに高分子膜が形成され、その結果細菌マットはエンベロープに包み込まれた状態になること、この特徴的な接着はA.cochlioides菌糸面上でも同様に起こることを走査電顕観察により明らかにした。 3)Aphanomyces cochlioides遊走子のホーミング現象におけるアクチンタンパクやオルガネラの挙動を蛍光ラベリングと共焦点レーザー顕微鏡で観察した。遊走子がコクリオフィリンAを受容することで分化した被のう胞子はそのほとんどが発芽に到る。この発芽前の被のう胞子の表層深部には、アクチン繊維の集合体がプラットフォームと呼ばれるノッドで網目状に結ばれた球状構造体を形成し、この集合体が胞子形態に寄与することを観察した。これに対し、遊走子の物理的刺激によって形成され、遊走子を再生する疑似被のう胞子では、アクチン繊維は集合体を形成していないことも同時に見いだした。
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Research Products
(6 results)